【米巨大ITの収益拡大】コロナ下でデジタル化追い風 半導体不足で先行き懸念も

 米巨大IT5社の純利益の合計の推移
 米巨大IT5社の純利益の合計の推移
米巨大ITの収益拡大が顕著だ。新型コロナウイルスの感染拡大が1年以上続き、在宅勤務や自宅学習が広がるなど社会のデジタル化という追い風を受けているためだ。ただ、市場支配への警戒から規制強化の議論が活発化。世界的な半導体不足など先行きへの懸念材.....
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 米巨大ITの収益拡大が顕著だ。新型コロナウイルスの感染拡大が1年以上続き、在宅勤務や自宅学習が広がるなど社会のデジタル化という追い風を受けているためだ。ただ、市場支配への警戒から規制強化の議論が活発化。世界的な半導体不足など先行きへの懸念材料も浮上している。[br][br] ▽後戻りせず[br] 「デジタルの導入は加速しており、始まったばかりだ」。マイクロソフトのナデラ最高経営責任者(CEO)は決算発表の声明でこう強調した。米国では新型コロナのワクチン接種が進み、営業規制や行動制限を緩和する動きが出ている。ナデラ氏の声明は、出社や外出が増えて米巨大ITを支えてきた「巣ごもり需要」が減少するとの観測を一蹴した形だ。[br][br] 米巨大IT5社の業績は世界経済がこの1年、新型コロナの影響で減速する中、好調を維持して2021年1~3月期の純利益の合計は746億ドル(約8兆1千億円)で前年同期の2倍以上となった。アップルのティム・クックCEOは「多くの企業が(在宅と出社の)ハイブリッドで事業を展開していくだろう」と指摘。リモートワークなどの導入は後戻りしないと説明し、成長への自信を示した。[br][br] ▽3社で席巻[br] 一方で寡占も進む。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、20年の米国の広告市場で、グーグル、フェイスブック、アマゾンの3社のシェアが合計で過半に達した。インターネットを活用したデジタル広告で席巻しており、存在感が抜きんでている。[br][br] 米議会下院の小委員会は昨年10月、巨大ITがデジタル市場で独占的な力を使って競争を妨げているとし、事業分割などを提言した。民主党は規制の網を広げようと反トラスト法(独占禁止法)改正も視野に入れる。日本もデジタル広告で取引内容の透明化を求めるなど米巨大ITを念頭に規制を強化する方向だ。[br][br] ▽急拡大の結果[br] 巣ごもり需要でパソコンといったデジタル製品の販売が世界で急拡大した結果、重要な基幹部品である半導体不足を引き起こしている。[br][br] アップルはiPad(アイパッド)やパソコン「マック」の生産に影響が出る恐れがあり、4~6月期の売上高が供給が順調だった場合と比べて最大40億ドル減少する見込みだと明らかにした。マイクロソフトもノートパソコン「サーフェス」の生産減につながりかねず、米巨大ITにとって思わぬ足かせになる可能性がある。(ニューヨーク共同) 米巨大IT5社の純利益の合計の推移