【米アカデミー賞】多様性推進の改革が結果に マイノリティーの候補も躍進

 第93回米アカデミー賞で作品賞を受賞した「ノマドランド」のチーム。クロエ・ジャオ監督(中央)、主演女優賞を受けたフランシス・マクドーマンドさん(左から2人目)ら=25日、米ロサンゼルス(AP=共同)
 第93回米アカデミー賞で作品賞を受賞した「ノマドランド」のチーム。クロエ・ジャオ監督(中央)、主演女優賞を受けたフランシス・マクドーマンドさん(左から2人目)ら=25日、米ロサンゼルス(AP=共同)
第93回米アカデミー賞は中国出身の女性クロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が作品賞に輝き、演技部門の受賞者4人のうち半分を白人以外が占めた。韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が昨年、外国語映画として初めて作品賞を制したのに続き、多様性推進.....
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 第93回米アカデミー賞は中国出身の女性クロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が作品賞に輝き、演技部門の受賞者4人のうち半分を白人以外が占めた。韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が昨年、外国語映画として初めて作品賞を制したのに続き、多様性推進を掲げる主催団体の改革が結果に表れ始めている。[br][br] ▽倍増達成[br] 「オスカー真っ白」。2016年の演技部門の候補が前年に続いて全員白人となり、批判が噴出した。授賞式をボイコットする人も現れ、ハリウッドに激震が走った。[br][br] 映画芸術科学アカデミーは賞の投票権を持つ会員構成を見直し、20年までに女性やマイノリティー(人種的少数派)の会員を倍増する改革案を発表。日本を含む65カ国以上の映画人を新規会員に招待し、昨夏時点で女性は15年の2倍強、少数派も3倍以上となった。[br][br] 今年はジャオ監督が4部門で候補入りし、70人の女性が計76ノミネートという記録も樹立した。[br][br] ▽夢の後押し 結果は、ジャオ監督が女性として史上2人目の監督賞に輝いたほか、「プロミシング・ヤング・ウーマン」を手掛けた女性のエメラルド・フェネル監督も脚本賞を受賞。[br][br] ジャオ監督は記者会見で白人以外の女性監督として初受賞した意義を問われ、「より多くの人が夢を追い掛ける後押しになるのであれば、とてもありがたい」と語った。[br][br] マイノリティーの候補も躍進。主要賞の助演女優賞は「ミナリ」の韓国人俳優ユン・ヨジョンさん、助演男優賞は「ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア」に出演した黒人のダニエル・カルーヤさんが初受賞した。[br][br] 映画評論家の渡辺祥子さんは「会員の変化が感じられる受賞結果だった。かつては白人高齢層が中心だったが、近年は人種の多様化、若年化が進む。今年はアフリカ系のことも特に意識しているように感じた」と話す。[br][br] ▽長い道のり 地元メディアは「歴史的」「アカデミーの国際化に合致」と評価する一方、ロサンゼルス・タイムズは「多様性実現に向けた動きがあまりに遅く、受賞結果を必要以上に評価することはできないとの見方も」と伝えた。[br][br] 米芸能メディア「デッドライン」も「多様性(実現)はまだ遠い」と指摘。「初」が相次いだ今年の結果は歓迎すべきだが、実際には「バケツの中の一滴」にすぎず、「真の課題解決への道のりは長い」と強調した。[br][br] 映画芸術科学アカデミーはさらなる前進を目指し、女性や少数派らをキャストやスタッフとして一定数、起用することなどを作品賞の応募基準に定め、24年からの適用を明らかにしている。一過性ではなく「長期的で本質的な変化」に向けて取り組んでいる最中だ。 第93回米アカデミー賞で作品賞を受賞した「ノマドランド」のチーム。クロエ・ジャオ監督(中央)、主演女優賞を受けたフランシス・マクドーマンドさん(左から2人目)ら=25日、米ロサンゼルス(AP=共同)