【コロナ変異株】世界で猛威、三重変異も 若者に拡大、妊婦懸念

 新型コロナウイルス世界の1週間当たりの感染者数推移
 新型コロナウイルス世界の1週間当たりの感染者数推移
新型コロナウイルス感染による死者が日本で1万人を超えた。増加の背景とされる変異株は世界でも猛威を振るい、若年層への感染力が強い株が拡大。感染者は最多ペースで増え、各国で繰り返される規制はもはや焼け石に水だ。インドでは二重変異を超えた未知の「.....
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 新型コロナウイルス感染による死者が日本で1万人を超えた。増加の背景とされる変異株は世界でも猛威を振るい、若年層への感染力が強い株が拡大。感染者は最多ペースで増え、各国で繰り返される規制はもはや焼け石に水だ。インドでは二重変異を超えた未知の「三重変異株」も登場。ブラジルでは妊婦への影響が指摘される。人類は先の見えない閉塞(へいそく)感にさいなまれている。[br][br] ▽不満と動揺[br] 救急車がひっきりなしに到着する。入院許可を求める人が長い列をつくっていた。インドの首都ニューデリーの公立病院。1日当たりの感染確認が30万人を超え、世界最悪の拡大が続くインド。医療体制が逼迫(ひっぱく)し、病床や酸素が不足、1日の死者は3千人に迫る。[br][br] 一因は強い感染力を持つ「二重変異株」。免疫をかいくぐる懸念が指摘される。政府が公表したのは3月。報道によると、感染者最多の西部マハラシュトラ州で1~3月に採取されたサンプルの5割超が二重株だった。[br][br] 今、新たな報道が不安に拍車を掛ける。主要紙インディアン・エクスプレスは、二重株にさらなる変異が起きた「三重変異株」が3種類も確認された可能性があると報道。政府は詳細を発表せず、苦難を強いられる市民には不満が蓄積する。[br][br] 米国、インドに次いで3番目に感染者が多いブラジル。変異株で妊婦が重症化しやすい懸念があるとして保健省が妊娠延期を勧告し、内外に動揺が広がった。[br][br] 変異株が急速に広がった今年、妊婦や出産直後の女性の死者数は既に昨年1年の8割に。主要紙グロボの調査では1週間平均にすると昨年の2倍以上に及ぶ。[br][br] リオデジャネイロのアンドレサ・ダコスタさん(37)は妊娠6カ月だ。「私の年齢だと妊娠延期にもリスクがある。無事に出産できることを祈るしかない」と漏らす。[br][br] ▽無料検査[br] 「年内に(第3)波が訪れる」。ジョンソン英首相は20日の会見で専門家の見解を示し“緩み”への警戒を呼び掛けた。[br][br] 日米欧でいち早くワクチン接種を始めた英国。新規感染は落ち着いてきたが、若者らには順番が回っておらず、変異株が再び猛威を振るう懸念は強い。規制緩和に伴う感染拡大を検知するため、南部イングランドでは週2回無料で抗原検査を受けられるようになった。[br][br] 英国由来の変異株で第3波が深刻化し、再び規制を強化したフランスは、ブラジル由来の株流入で状況が一層悪化するのを恐れ、同国との航空便運航を一時停止。政府がワクチン戦略を諮問するフィッシャー医師は今月中旬、地元ラジオに「これ以上国内に変異株は必要ない」として、水際対策の必要性を強調した。[br][br] ▽いたちごっこ[br] 世界最多の接種者を数える米国。全米の陽性率は4・2%だが、変異株が拡大する中西部ミシガン州は11%超で最も深刻だ。新規感染者の57%超が英由来株だった。[br][br] 南部フロリダ州は3月、新規感染者が急増。規制はほぼない状態で春休みシーズンに多くの旅行者が押し寄せた。英由来株の確認数は全米で最多。変異株感染者は3月中旬からの約1カ月で6倍に跳ね上がった。[br][br] 「公衆衛生に関わる多くの人たちが恐れていた状況だ」とマイアミ大の社会疫学者ジンジ・ベイリー氏。感染対策を徹底しなければ、ワクチンの効果が及ばない新たな変異を生みかねない。変異とワクチン開発のいたちごっこはしばらく止まりそうにない。 新型コロナウイルス世界の1週間当たりの感染者数推移