防げ孤立、善意“おすそわけ” 困窮世帯の支援、青森県内で広がり

2月に開催されたフードパントリーの様子=八戸市(青森県社会福祉協議会提供)
2月に開催されたフードパントリーの様子=八戸市(青森県社会福祉協議会提供)
社会福祉法人やNPO法人が主体となって生活困窮世帯に食料や日用品、学用品を無償提供する「こども宅食おすそわけ便」が、青森県内各地で展開されている。食品の配達やフードパントリーを通じて社会的に孤立しがちな困窮世帯と関係性を構築し、必要な支援へ.....
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 社会福祉法人やNPO法人が主体となって生活困窮世帯に食料や日用品、学用品を無償提供する「こども宅食おすそわけ便」が、青森県内各地で展開されている。食品の配達やフードパントリーを通じて社会的に孤立しがちな困窮世帯と関係性を構築し、必要な支援へとつなげる活動は、開催回数を重ねるにつれ、賛同する事業所や一般市民からの寄付も増加。コロナ禍で困窮世帯が増えているとみられる中、県内で支援の輪が着実に広がっている。[br][br] 県社会福祉協議会によると、おすそわけ便は、食料を自宅へ届けたり、指定場所で受け渡したりする活動。生活が困窮しているにもかかわらず、相談できずに支援を受けられていない世帯が多いほか、困窮世帯の増加も懸念される状況で、昨年11月にスタートした。[br][br] 県社協が事務局を務め、運営は各地域の社会福祉法人や認定こども園、市民団体などが担うのが特徴。地域の実情に合わせたきめ細やかな支援ができるのが強みだ。支援の手が届かない家庭にアプローチし、食材の現物支給などを行う県社協の事業「青森しあわせネットワーク」や、公的支援につなげるのを目的としている。[br][br] スタート以降、八戸、三沢、青森、五所川原の各地域で開かれており、相談や支援につながるケースは増加。これまでに、経済的理由で制服を用意できない世帯に、青森しあわせネットワークを活用して制服を支給したり、就学費援助制度の申請につなげたりした事例などがあった。[br][br] 活動では、内容をより充実させようとする取り組みも進む。計10法人が参加し、2度の活動が展開された八戸市で運営に携わった社会福祉法人みやぎ会(同市)では、子どもにも楽しんでもらいたいと、お菓子や折り紙も一緒に渡すなどの工夫をしているという。[br][br] 担当の天摩典子さんと巴智恵子さんは「活動を通して地域の人と『顔見知りの関係』を築くことで、困り事がある人の助けになりたい」と、今後への意欲も示す。[br][br] コロナ禍で全国的に閉鎖が相次いでいる「子ども食堂」に代わる支援策としても注目が集まるおすそわけ便。「支援件数だけでなく、企業や市民からの寄付も増えており、地域全体の助け合いの形ができている」と手応えを語る県社協社会貢献活動推進室の葛西裕美室長は、「今後は福祉的な支援につながりにくい中高生ら若い世代にも活用してもらえるような展開にしたい」と話す。[br][br] 次回の「おすそわけ便」は25日開催。八戸市の大久保の里、みんなの森のはらキッズ、長者公民館、学生服リユースショップ「さくらや」、階上町の特養施設「見心園」などでフードパントリーを行う。時間などの詳細は、県社協のホームページで確認できる。2月に開催されたフードパントリーの様子=八戸市(青森県社会福祉協議会提供)