天鐘(4月20日)

「飲んでもいいの?」。昨年9月、就任間もない菅義偉首相が福島第1原発を視察。「希釈すれば飲めます」と手渡された放射性物質を含む処理水のサンプルを見詰め、こう聞き返した▼先週末、麻生太郎副総理も「飲めるんじゃないですか。普通の話ですよ」と太鼓.....
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 「飲んでもいいの?」。昨年9月、就任間もない菅義偉首相が福島第1原発を視察。「希釈すれば飲めます」と手渡された放射性物質を含む処理水のサンプルを見詰め、こう聞き返した▼先週末、麻生太郎副総理も「飲めるんじゃないですか。普通の話ですよ」と太鼓判。そこで2人が飲んでいれば、13日に政府が決めた処理水の海洋放出処分も少しは説得力と信頼性が増していたかもしれない▼無論、飲んだからといって海洋放出は大丈夫という単純な話ではない。案の定、韓国は国際海洋法裁判所への提訴をちらつかせて猛反発。米政府に「憂慮」を直訴したり、引っ込めたりと過剰な反応を見せている▼中国も麻生氏の発言を「飲んでから言ってもらいたい」と皮肉った。政府は処理水を国の排出基準6万ベクレルの40分の1まで希釈、「飲めるレベル」で放出する方針だが、中韓の過敏とも思える動きが気に掛かる▼18日開かれた政府、東京電力、地元関係者による処理水対策評議会でも、地元から「風評被害に追い打ちが掛かる」と懸念が噴出。政府に対して海外の輸入規制解除に向けた国際的な説明を求める要望が相次いだ▼たとえ科学が安全を保証しても怖いのは風評。中韓の反応を見るまでもなく、感情一つで被害が出る。まず国内の懸念を払拭。事は安全保障や国際政治と直結するだけに真剣勝負が不可避だ。“首相の覚悟”が問われる。