行き場失うアマゾン研究の資料、保管先確保/山形県鶴岡市

 父が集めたアマゾンの資料を説明する山口考彦さん=3月、山形県鶴岡市
 父が集めたアマゾンの資料を説明する山口考彦さん=3月、山形県鶴岡市
山形県鶴岡市のアマゾン研究家山口吉彦さん(79)が現地で収集した民族・自然関連の資料で、市の展示施設の閉館により約7年前から宙に浮いていた約2万点の保管先が決まった。「人と自然、人と人との共生という父の願いを継ぎたい」。移設作業に取り組んだ.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 山形県鶴岡市のアマゾン研究家山口吉彦さん(79)が現地で収集した民族・自然関連の資料で、市の展示施設の閉館により約7年前から宙に浮いていた約2万点の保管先が決まった。「人と自然、人と人との共生という父の願いを継ぎたい」。移設作業に取り組んだ長男考彦(なすひこ)さん(44)は多くの人に関心を持ってほしいと、新たな活動の展開を見据えている。[br][br] 吉彦さんはブラジルやペルーで日本人学校教員などを務め、1970年代を中心に、アマゾンの先住民と物々交換で亀の甲羅の仮面や狩猟用のやりを集めるなどした。子どもの頃の考彦さんはそんな父の姿を「本当に好きなんだな」とぼんやり眺めるだけだった。[br][br] その後一家は故郷の鶴岡市に戻り、90年代から市運営の施設で資料を一般展示してきた。しかし2014年に閉館になり、施設にある収蔵庫で一時的に置かれてきた。[br][br] 「お父さんを助けてあげて」。17年12月、展示活動を手伝ってきた母考子(なすこ)さんが亡くなる直前に頼んだ一言が胸に刺さった。18年、勤めていた国際協力機構(JICA)を辞め、東京を離れた。[br][br] 保管先が決まらず資料を疎ましく感じることもあったが、19年に一般社団法人「アマゾン資料館」を立ち上げて代表理事に就き、腹をくくって募金に取り組んだ。約470万円集まり、市内にある吉彦さんの自宅を改修し、今春搬入した。[br][br] 搬入を手伝ったボランティアが資料の精巧な造りに感動している姿に、考彦さんは「父の活動を見直すことができた」。吉彦さんは「大変助かっている。妻も喜んでいると思う」と感謝する。[br][br] 今後、考彦さんは、これまでに集められた膨大な量の関連文献を整理し、同じ建物に図書館をつくりたい考えだ。「アマゾンの資料には無限のポテンシャル(潜在力)がある。ここがスタート地点だ」と意気込む。 父が集めたアマゾンの資料を説明する山口考彦さん=3月、山形県鶴岡市