【中国GDP過去最高】国内需要回復の一方、原材料高騰 米国も制裁緩めず

 中国・上海で開かれた冷蔵・空調システムや生産設備の展示会=7日(共同)
 中国・上海で開かれた冷蔵・空調システムや生産設備の展示会=7日(共同)
中国経済が四半期ベースで過去最高の成長率を記録した。新型コロナウイルスの封じ込めで国内需要が回復。輸出の増加にも後押しされ、生産活動は堅調だ。ただ、世界的に原材料価格が高騰しており、コスト増が製造業の経営を圧迫し始めている。経済覇権を争う米.....
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 中国経済が四半期ベースで過去最高の成長率を記録した。新型コロナウイルスの封じ込めで国内需要が回復。輸出の増加にも後押しされ、生産活動は堅調だ。ただ、世界的に原材料価格が高騰しており、コスト増が製造業の経営を圧迫し始めている。経済覇権を争う米国はハイテク摩擦で中国への制裁を緩めず、影響を与えている。[br][br] ▽控えめな目標[br] 4月上旬、中国・上海で開かれた冷蔵・空調システムや生産設備を一堂にそろえた展示会は活気に満ちていた。山東省で関係機器の工場を営む男性は「投資が必要なんだ。生産効率を上げなければいけないからね」と強調。増産に向けて金属加工機械の説明を熱心に聞き入っていた。[br][br] 中国は今年に入って生産が活発化。新型コロナの感染拡大で落ち込んだ前年の反動でパソコンやスマートフォンの輸出が増加したほか、主力の自動車は、新車販売台数が2月は前年同月に比べ4倍超となった。[br][br] 中国政府が3月に示した2021年の経済成長率の目標は「6%以上」。市場予測の8%前後より控えめな数字だが、李克強(りこくきょう)首相は、その後の地方幹部を集めた会議で「実際はもう少し高くなるだろう」と自信を見せた。[br][br] ▽インフレ圧力[br] ここに来て懸念されているのがインフレ圧力だ。世界経済の回復に伴う需要増で鉄鉱石や銅などの価格が高騰。英調査会社は中国の3月の景況感を分析したリポートで、原材料高による製造業の生産コストの上昇に警鐘を鳴らした。[br][br] 今のところ、コストアップを製品価格に転嫁する大きな動きはみられず、中国メディアは利益が低下して悲鳴を上げる企業の現状を伝えている。しかし、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、中国メーカーが製品の値上げに走れば、物価を世界的に押し上げる恐れがあると指摘。「世界の工場」の動向に注意が必要になりそうだ。[br][br] ▽対立、日本関係[br] 米国との対立も引き続き懸念材料だ。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)によると、日本からの部品調達額が20年は前年より約2割減った。ファーウェイは米国の輸出規制で半導体などの調達に支障が出ている。日本からの仕入れが減少しているのも、その影響だ。[br][br] ファーウェイ幹部は「米国の中国企業への制裁が世界的なサプライチェーン(供給網)を乱している」と批判するが、バイデン米政権は香港や少数民族を巡る中国の人権問題もやり玉に挙げる。歩み寄りの糸口は見えていない。 中国・上海で開かれた冷蔵・空調システムや生産設備の展示会=7日(共同)