仁徳陵、18年台風で被害 倒木で埴輪露出

 大山古墳で被害が確認された場所(宮内庁調べ)
 大山古墳で被害が確認された場所(宮内庁調べ)
近畿地方を中心に大きな被害をもたらした2018年の台風21号で、宮内庁が仁徳天皇陵として管理する国内最大の前方後円墳・大山(だいせん)古墳(堺市、5世紀中ごろ)に多数の倒木が発生し、墳頂などの埴輪(はにわ)が地中から露出する被害が生じていた.....
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 近畿地方を中心に大きな被害をもたらした2018年の台風21号で、宮内庁が仁徳天皇陵として管理する国内最大の前方後円墳・大山(だいせん)古墳(堺市、5世紀中ごろ)に多数の倒木が発生し、墳頂などの埴輪(はにわ)が地中から露出する被害が生じていたことが13日、同庁への取材で分かった。[br][br] 大山古墳は19年に世界文化遺産に登録された大阪府の「百舌鳥(もず)・古市古墳群」を構成する古墳の一つ。同庁は約1600点もの埴輪の破片を現地で回収した。被害は他の複数の陵墓でも発生し、同庁の担当者は「これだけの被害は過去に例がない。今回のことを教訓に、今後も陵墓の保全に努めたい」としている。[br][br] 同庁は19年10月、土を抱えるようにして根が起き上がった8カ所の倒木地点で調査を実施した。このうち墳頂など5カ所の地表で、埴輪の破片が露出しているのが多数確認された。[br][br] 同庁は被害の詳細を記録し、破片を回収。円筒埴輪や朝顔形埴輪、貴人にかざす傘をかたどった蓋(きぬがさ)形埴輪のものが含まれていた。調査後は倒木を処理し、根が持ち上げた土を元の場所に埋めるなどの措置を講じた。[br][br] 同じような被害は、いずれも世界文化遺産を構成し、同庁が応神天皇の皇后の陵と指定する仲津山古墳(大阪府藤井寺市)と、陵墓参考地のニサンザイ古墳(堺市)でも発生。同庁が推古天皇陵とする山田高塚古墳(大阪府太子町)では、大型方墳の表面を覆っていたとみられる「貼り石」の一部が倒木でずれ、元の位置に据え直す措置が講じられた。[br][br] 大山古墳は全長486メートル。近年の測量で当初は少なくとも525メートルだったと判明した。3重の周濠(しゅうごう)と、その間に二つの堤があり、同庁が「皇室の祖先の墓」として一般の立ち入りを禁止。被葬者を巡って論争が続く。[br][br] 周濠の水で浸食が進む墳丘や堤の保全を検討するため、同庁は18年に堤で発掘を実施。石敷きや円筒埴輪の列を確認した。今年秋にも堤での再発掘を予定している。 大山古墳で被害が確認された場所(宮内庁調べ)