天鐘(4月13日)

ピカピカの1年生は可愛い。黄色い帽子、背中より大きいランドセル。元気に手を挙げて、横断歩道を渡り終えると、止まっているこちらに頭をペコリ。こちらこそ、ありがとう―。照れくさく、うれしかった▼すると興味深い会話が聞こえてきた。「緑なのに、どう.....
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 ピカピカの1年生は可愛い。黄色い帽子、背中より大きいランドセル。元気に手を挙げて、横断歩道を渡り終えると、止まっているこちらに頭をペコリ。こちらこそ、ありがとう―。照れくさく、うれしかった▼すると興味深い会話が聞こえてきた。「緑なのに、どうして青信号なの?」。通学路で子どもを優しく見守る、通称・緑のおじさんを困らせている。深く考えたことはなかったが、なるほど素朴な疑問である▼青野菜と称するものの、視覚的な“本物”に出くわすのは稀(まれ)だ。青リンゴ、青じそ、青汁…。スーパーに限らず、緑を青とする言葉は多い。間もなく迎える新緑の季節も、「青々とした若葉」と表現される▼色は無限。だが古くは明るい赤、際立つ白、暗い黒、淡い青だけで万物を形容した。緑、紫、藍も青だった。「あをによし」と詠んで都の自然美を称えた万葉の和歌が、現代における色の混用に名残をとどめる▼赤く警鐘を鳴らす感染状況の信号が、青に変わる契機になるか。高齢者のワクチン接種が始まった。副反応への懸念もあるとはいえ、先行した海外では抑制効果が顕著。コロナ対策の切り札への期待は大きい▼青も緑も自然の色。平和や希望、生命や安らぎの象徴でもある。身に危険が及ぶ赤信号を渡る人はいないはず。感染爆発を招いては元も子もない。今は自衛対策を徹底し、ワクチンの早期普及を待ちたい。