【松山マスターズV】「新しい自分」で壁越える 重圧を克服

 松山英樹の略年譜(写真はAP、ゲッティ、ロイターなど)
 松山英樹の略年譜(写真はAP、ゲッティ、ロイターなど)
松山英樹にとってメジャーで7度目の1桁順位が、ついに優勝となった。たびたび頂点を争っては、強敵や重圧に阻まれてきた。4年前の全米プロ選手権では最終ラウンドの後半に首位から後退。「ここまで来た人はたくさんいる。勝てる人になりたい」と声を震わせ.....
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 松山英樹にとってメジャーで7度目の1桁順位が、ついに優勝となった。たびたび頂点を争っては、強敵や重圧に阻まれてきた。4年前の全米プロ選手権では最終ラウンドの後半に首位から後退。「ここまで来た人はたくさんいる。勝てる人になりたい」と声を震わせて泣いた青年が、ようやく高い壁を越えた。[br][br] 今大会、これまでと少し違う松山がいた。厳しい場面でも柔らかな表情を浮かべ、攻める時は大胆だった。落とせば流れを失いかねない5番のパーパット。5メートルほどを強気なタッチでねじ込むと、小さく右拳を握った。[br][br] 重圧に強くないと率直に認める。一昨年、AIG全英女子オープンで優勝をさらった渋野日向子のウイニングパットは、5メートルを強いタッチで決めたもの。その場面を想定してみても、松山の頭の中では「何度打っても決められない」という。[br][br] 同い年の石川遼が「英樹は1人であそこまで上り詰める、コーチなしで。めちゃくちゃすごい」と評価する、高レベルな自己流。ただ、メジャーで勝てない現実を受けて最近は「新しい自分もつくっていかないと」とも語り、変化を恐れず外に活路を求めた。米国の有名指導者に積極的に意見を求め、今年初めてコーチを付けた。研ぎ澄ませた感覚に他人の視線を加え「毎日、新しい発見がある」と語っていた。[br][br] 中盤6打あったリードがみるみる減ったが、動揺は見せない。17番グリーンではにやりともした。「今週はすごく穏やかだった。彼にしか分からないけど、意識してプレーしているように見えた」と早藤将太キャディー。厳しい場面で、体もこわばることがなかった。[br][br] 「今週いけるかも。優勝しよう」。大会前、松山が早藤キャディーにつぶやいた。今年は精彩を欠いていた慎重な男が口にした勝利の予感。重圧につぶれた苦い経験を無駄にせず、技術もたゆまず磨き上げ、焦がれ続けたグリーンジャケットに袖を通した。10年前はベストアマチュアとして臨んだ表彰式。「この素晴らしいオーガスタ・ナショナルで勝てたことをうれしく思います」と、はにかんだような笑顔を浮かべた。 松山英樹の略年譜(写真はAP、ゲッティ、ロイターなど)