八戸市が企業誘致施策を拡充 「おためしサテライトオフィス誘致事業」など

八戸市の企業誘致件数の推移
八戸市の企業誘致件数の推移
八戸市は2021年度、企業誘致に向けた取り組みを拡充する。地方展開を検討している青森県外の企業向けに、市内での試行的な業務体験の機会を提供する「おためしサテライトオフィス誘致事業」を新たに展開。新型コロナウイルスの影響で感染リスクが低い地方.....
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 八戸市は2021年度、企業誘致に向けた取り組みを拡充する。地方展開を検討している青森県外の企業向けに、市内での試行的な業務体験の機会を提供する「おためしサテライトオフィス誘致事業」を新たに展開。新型コロナウイルスの影響で感染リスクが低い地方に目が向けられている時機を生かし、首都圏のIT関連企業などに八戸の立地環境をアピールする。市の企業誘致件数は近年、堅調に推移しており、コロナ禍が長期化する中で21年度も成果を残せるかが焦点だ。[br][br] おためしサテライトオフィス誘致事業は、都市部の企業による地方拠点開設の機運が高まりつつある状況を踏まえ、参加企業の関係者に市内での仕事や生活環境などを体験してもらう仕組み。6泊程度の短期滞在を想定しており、事業所開設の促進や企業側が求めるニーズの把握につなげる。[br][br] 21年度一般会計当初予算に関連経費246万円を計上。現段階で3~5社の参加を見込み、計15人程度の交通費や宿泊費を市が負担する。市は参加企業をコーディネートする団体を公募し、事業運営を委託する。[br][br] 従来の企業誘致施策は、セミナーや産業立地フェアを通した情報発信が中心だったが、同事業は立地先の検討に入った段階の企業にアピールするのが特徴。IT系やソフトウエア開発、設計業務などの業種を主なターゲットに据えている。[br][br] 全国的にテレワークの導入が進む中、都市部から離れた場所に小規模オフィスを開設する企業は増え始めている。市産業労政課の小笠原了課長は「業務を体験してもらえれば八戸の魅力は伝わるだろう。コーディネートを担う民間のノウハウも生かしたい」と話す。[br][br] このほか新規事業では、調査・企画や研究開発などの中枢部門を移転した企業に助成する「本社機能移転支援補助金」も創設。不動産取得について税制上の優遇がある国の制度と、新規雇用や従業員の転居に関して補助する県の制度を補完する形で、市はオフィスを借りて市内に移転する企業に賃貸費用を助成する。[br][br] 補助率は2分の1(上限300万円)とし、3年間の継続助成となる。市の誘致認定を受けるのが条件で、21年度予算には1社分として300万円を盛った。[br][br] 企業誘致に向けた二つの新規事業の予算額は、現時点で共に数百万円にとどまっているが、今後、企業の引き合いに応じて、増額することも検討しているという。[br][br] 一方、市の企業誘致件数は近年、IT・テレマーケティング関連産業がけん引する形で好調に推移している。11~19年度は年間4~6件の水準を維持し、新型コロナの影響が広がった20年度も3件に上った。[br][br] コロナ禍で企業活動の制約が続く21年度は、誘致促進を図る新規事業の実効性が一層問われている。小笠原課長は「先行きが不透明な部分もあるが、地方に目が向けられているこの機会を捉え、今後の企業誘致につなげたい」としている。八戸市の企業誘致件数の推移