天鐘(4月10日)

気温が極端に低いわけではなかった。しかし、20度を超える陽気との落差が大きく、ここ数日の寒の戻りは骨身に染みた。雪も降った。かなり遅い「彼岸じゃらく」かと身構えたが、ドカ雪にならずに済んだ。ひと安心である▼今年の桜前線はいつになく駆け足だ。.....
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 気温が極端に低いわけではなかった。しかし、20度を超える陽気との落差が大きく、ここ数日の寒の戻りは骨身に染みた。雪も降った。かなり遅い「彼岸じゃらく」かと身構えたが、ドカ雪にならずに済んだ。ひと安心である▼今年の桜前線はいつになく駆け足だ。既に盛岡市まで北上。寒さにしばし身をすくめていたつぼみも、日差しと温(ぬく)みが戻れば一気にほころぶだろう。北奥羽地方にも、いよいよ花が薫る季節がやって来る▼昨年も開花は早かった。だが、多くの名所は閉鎖され、桜は見守られることなく寂しく散った。コロナ禍が続く中で迎えた2度目の春。早咲きの薄紅を間近で愛(め)でることはできそうだが、もろ手を挙げて喜べない▼関西で猛烈にうねる第4波は、列島を覆ってしまうのか。緊急事態宣言の解除から程なく、懸念されたリバウンドが現実に。波は押し引きを繰り返す度に勢いを増す。青森で続発するクラスターも無縁ではない▼気持ちが休まることのない日々が続く。閉塞(へいそく)感を払拭(ふっしょく)できないとしても、せめて満開の桜に安らぎを求めたい。心を解放しても、感染防止の対策は怠るまい。ルールを順守して2年分の花見を楽しみたい▼北国の冬は厳しい。だからこそ、三寒四温を繰り返して春を迎える喜びはひとしおである。乱高下する感染動向の先に待つものは。終息への道筋であってほしい。一陽来復の春が待ち遠しい。