参院長野選挙区の補欠選挙と参院広島選挙区の再選挙が告示された。[br][br] 長野は立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去、広島は選挙買収で有罪が確定した河井案里前議員(自民党離党)の当選無効により実施される。吉川貴盛元農相(同)の鶏卵汚職事件による議員辞職に伴う、13日告示の衆院北海道2区補選とともに、25日に投開票される。[br][br] 昨年9月の菅義偉首相就任後、初の国政選挙。政権選択選挙となる次期衆院選の前哨戦として、新型コロナウイルス対策や「政治とカネ」問題などが主要争点で、菅政権に対する信任投票の色彩も帯びる。[br][br] 2参院選は与野党が激突する。長野は自民公認で公明推薦の小松裕氏と、立憲民主公認で共産、国民民主、社民が推薦する元国交相の弟の羽田次郎氏、広島は立民、国民、社民推薦の宮口治子氏、自民公認で公明推薦の西田英範氏による事実上の一騎打ちとなる。[br][br] 自民党は千葉県知事選で推薦候補が大敗するなど地方選で苦戦が続いている。衆院北海道2区では候補擁立を断念。長野と広島の両方で公認候補が敗れた場合には、次期衆院選は菅首相の下では戦えないとの空気が一気に強まることも予想される。[br][br] 今、国民の最大の関心が新型コロナ対策であることは間違いない。ほとんどの人が不自由な生活を強いられ、社会的弱者の間では職を失うなど特に大きな痛みが広がっている。[br][br] 後手に回っているとの批判も浴びる菅政権のコロナ対応をどう受け止めるのか。いかにコロナ禍から脱却するのか。各党、候補が示す処方箋を有権者がどう評価するか。コロナ対応が大きな争点になりそうだ。[br][br] 「自民1強」の政治状況が10年近く続く中、広島の選挙買収事件や、収賄事件といった自民党議員による「政治とカネ」問題が相次ぎ、官僚機構による不祥事も後を絶たない。菅政権と自民党に対する国民の視線は厳しい。長期政権によるひずみや規律の欠如は選挙にどう影響するのか。[br][br] 内閣支持率は下降気味だが、立憲民主党をはじめ野党各党への支持はいっこうに高まらない。野党側は次期衆院選を視野に選挙協力の強化を図るが、長野では基本政策の相違から不安要因も露呈した。[br][br] 衆院議員の任期は10月21日までで、衆院選は確実に近づいている。今回の選挙で各候補は非難合戦に陥らず、日本の将来を見据えた政策論争を通じ政治への信頼回復につなげてほしい。