【まん延防止措置】重症者急増、対応綱渡り 人出増で対象地域拡大も

 JR大阪駅前をマスク姿で行き交う人たち=5日午前
 JR大阪駅前をマスク姿で行き交う人たち=5日午前
新型コロナウイルス対策で初の「まん延防止等重点措置」が始まった宮城、大阪、兵庫3府県では、重症者の急増や病床の逼迫(ひっぱく)への対応が綱渡りの状況だ。全国的な人出の増加傾向が続けば対象地域がさらに拡大する可能性もあり、専門家からは3度目の.....
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 新型コロナウイルス対策で初の「まん延防止等重点措置」が始まった宮城、大阪、兵庫3府県では、重症者の急増や病床の逼迫(ひっぱく)への対応が綱渡りの状況だ。全国的な人出の増加傾向が続けば対象地域がさらに拡大する可能性もあり、専門家からは3度目の緊急事態宣言が必要との声さえ出始めている。[br][br] ▽危機感[br] 「感染者が増えてから重症者が増えるまでの期間が短い。若年層も重症化している印象がある」。大阪市立総合医療センター感染症内科の白野倫徳(みちのり)医長は大阪府の対策本部に対し、府と兵庫県で他地域より高い割合になっている変異株に危機感を示した。[br][br] 両府県では重症者用の病床使用率が急上昇し、国の分科会が定める指標でステージ4(爆発的感染拡大)の水準である50%を大きく上回る。兵庫県は病床の最大確保数に対する使用率が65・5%。大阪府では入院中の重症者が4日まで3日連続で10人以上増え、最大確保数224床のうち、実際に稼働できている病床に対する使用率は83・3%にもなる。[br][br] それぞれ臨時の重症者用病棟の設置や、医療機関への病床確保の通知で病床数の上積みを図るが、試算を上回るペースで増える重症者に瀬戸際の対応が続く。[br][br] 一方で、長期化する時短措置に飲食店の苦境も深まっている。大阪府内の「たこ家道頓堀くくる 道頓堀コナモンミュージアム店」は、緊急事態宣言が解除された3月でも売り上げがコロナ禍前の約4割までしか回復せず、丸山功店長(48)は今回の重点措置適用に「また来たかという感じだ」と諦めの様子だ。[br][br] ▽緩み[br] 首都圏でも宣言解除後に人出が増加傾向で、東京都のモニタリング会議は、解除後初の週末だった3月27、28日に「主要駅や繁華街、花見の名所を中心に多くの人出があった」と分析。今週以降に感染者数として計上されるとみて警戒を強めている。[br][br] 友人との旅行や10人以上での会食による感染例が複数出るなど、対策の緩みが原因とみられるケースが続出し、都の担当者は「人の行き来が増えており、宣言解除に伴って感染者が増加している」と憂慮する。[br][br] 西村康稔経済再生担当相は重点措置を「必要があれば機動的に活用する」と繰り返し、3府県以外への適用を否定していない。首都圏の他に山形、愛媛、沖縄各県など感染の急拡大が見られる地方各県の状況を注視する。[br][br] 感染状況によっては対象拡大も視野に入る重点措置だが、順天堂大の堀賢教授(感染症対策)は「感染抑制の効果を発揮するのは難しい」との見方を取る。地域が限定的で、周辺の繁華街に人が流れる可能性があるためで、病床数の逼迫が続く関西圏では「緊急事態宣言が必要な場面かもしれない」と指摘した。 JR大阪駅前をマスク姿で行き交う人たち=5日午前