時評(4月6日)

新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の初適用が大阪府、兵庫県、宮城県で始まった。感染は3府県だけでなく、青森県など全国的に増えている。再拡大が大きな第4波となるのを防げるか、難局にある。 首都圏でも新規感染者は微増傾向が続き、手詰ま.....
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 新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の初適用が大阪府、兵庫県、宮城県で始まった。感染は3府県だけでなく、青森県など全国的に増えている。再拡大が大きな第4波となるのを防げるか、難局にある。[br][br] 首都圏でも新規感染者は微増傾向が続き、手詰まり感は強い。昨年春以降、断続的な自粛生活に人々は疲れ、苦しんでいる。飲食店営業の時短強化のほかに有効策を実施できなければ、法改正で2月に新設された重点措置は機能しないだろう。[br][br] 緊急事態宣言の感染者抑制効果は2カ月ほど持続してきたが、関西圏では宣言解除後1カ月で急拡大した。感染力の強い変異株が広がったからだ。拡大が緩やかな地域は変異株の比率がまだ低いが、首都圏もいずれ変異株に変わり、重点措置が必要になる可能性は大きい。[br][br] 同じ県でも都市部と人口の少ない地域では流行の程度や様式がまるで異なる。重点措置は都道府県全域に一律でなく、感染の集中する都市に機動的な運用ができる仕組みだ。また飲食店の時短協力金も同額でなく、規模別に改めるのは実態に沿った対応といえる。[br][br] 新規感染者が過去最多になった大阪府や宮城県でどこまで抑えられるか注目したい。阪神地域と仙台市に絞った重点措置で効果がなければ、3回目の緊急事態宣言は不可避。重点措置と宣言は対策が実質的に同じだが、受け止め方の深刻度は違う。[br][br] 会食中の飛沫(ひまつ)感染を防ぐアクリル板設置など飲食店での感染予防を徹底し、時短だけに頼らない対策を進めるべきだ。集団感染の多い高齢者施設では2週に1回程度の検査が望ましい。[br][br] ウイルスが変異し続けている以上、対策も進化させるべきだ。菅義偉首相は変異株を調べるスクリーニングや、無症状者のモニタリング検査の拡大方針を示したが、実施は限られている。空約束は不信を招く。検査の拡充を急ぎ、結果を日々公開するよう求めたい。[br][br] 変異株の流行で新型コロナの第4波は早まった。新規感染者が増え続ければ医療はすぐ逼迫(ひっぱく)する。病院の連携や専用病床の確保で医療崩壊を防ぐ備えも強めてほしい。[br][br] 新型コロナと出合って1年3カ月。国内の感染者は計49万人に迫り、死者は高齢者を中心に9200人を超えた。終わりはなお見えないが、ウイルスに関して多くの知見が蓄積、かなり予防できるようになった。ワクチン接種を進めながら、私権の制限を最低限にとどめ、持続可能な対策で第4波を抑えたい。