天鐘(4月6日)

昨年、青森県内のサクラの開花は4月17日で平年より1週間早かった。5月のヤマツツジやフジ、7月のアジサイの開花も共に1週間前後早く、春と夏の訪れは年々早まっているようだ。果たして今年の季節の移ろいは―▼日本人の挨拶はまず時候にひと触れしてか.....
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 昨年、青森県内のサクラの開花は4月17日で平年より1週間早かった。5月のヤマツツジやフジ、7月のアジサイの開花も共に1週間前後早く、春と夏の訪れは年々早まっているようだ。果たして今年の季節の移ろいは―▼日本人の挨拶はまず時候にひと触れしてから始まる。端から要件に入るのは無粋で、4月の手紙文なら「桜花」「葉桜」「若草」など季節を彷彿(ほうふつ)させる言葉が溢れる▼サクラは月並みという方は、ヒバリやウグイスの初鳴き、ツバメの飛来やトンボの飛翔など動物を数行加えたらいかがだろう。自然に対する細かな感性が伝わり、季節の変化にグッと深みと動きが増すに違いない▼気象庁はこれら季節の到来を告げる植物34種、動物23種の「生物季節調査」を戦後から営々67年間も積み重ねてきた。だが、昨年末で植物6種だけを残して9割を廃止する“大規模リストラ”を決断していた▼生物が見つけにくくなった上、自然災害の頻発で手が回らなくなったためだが、「環境や生態系のズレが把握できなくなる」「蓄積したデータが勿体ない」など、多くの異論反論(本欄も掲載)も噴き出していた▼そこで気象庁は環境省と国立環境研究所に協力を要請、3者連携の継続を取り付けた。土壇場の逆転である。せっかくのデータだけに、自然の呟(つぶや)きを聞き環境保全に繋(つな)げたい。予報だけでは見抜けない変化の予兆もあるはずだ。