日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)を巡り、安全対策工事を進める上で必要な設計認可(設工認)の審査が難航している。新規制基準の適合性審査に合格し、「後段規制」のステップに進んだ一方、2022年度上期とする施設の完成に必要な設工認の審査は、設備を重要度や設計方針に応じて分類するスタート段階で停滞。前段の審査合格から8カ月が過ぎた現在も、入り口での足踏みが続いている。[br][br] 「ちゃんと技術的な話がしたい」。3月15日に開かれた審査会合で、原子力規制庁の担当者はいらだちを隠さなかった。[br][br] 約390万平方メートルの敷地に建屋が分散する再処理工場は、重要施設だけでも設備や機器の数が1万件以上に上る。既認可と未認可のものが混在しており、仕分けが必要。審査はかねて、「数だけで単純計算したら数年オーダー」(原子力規制委員会の更田豊志委員長)との懸念が付きまとっていた。[br][br] このため規制委は適合性審査の合格判断に先立つ昨年6月、設備の中から申請対象をあらかじめ明確にし、可能な場合は代表例を「類型化」する手法を用いる方針を決定。前段だけで6年以上を費やした原燃の審査を見据えて布石を打ち、効率化への道筋を示した。[br][br] しかし、対象設備のリストアップが審査のスタートに立つ必須条件となるにもかかわらず、原燃は選定基準の社内周知を徹底しないまま「行ったり来たりの対応」(規制庁担当者)を繰り返した。こうした原燃の対応には「入り口で間違っているから、後ろをそんなに見ても仕方ない」と辛辣(しんらつ)な本音も漏れる。[br][br] さらに、説明資料の検討不足を指摘する声も高まり、同15日の会合では象徴的な場面も。「敷地内で地盤改良を施した場所は液状化の可能性が低いため、工事は液状化を考慮しない解析を設計に採用する」との考えを示した原燃に対し、審査担当者は「どの程度の施工であれば液状化しないと判断できるのか」と追及。[br][br] 地盤改良の信頼性を差し置いた説明を一蹴し、「画一的な話に過ぎず、判断基準の検討が不十分。ちゃんと論理立てて説明を」と注文を付けた。[br][br] 3月30日の記者会見。原燃の増田尚宏社長は「だいぶ立て直しはできてきたと思っている」と強調した。[br][br] だが、分割して申請する設工認は初回の認可を得なければ次に進めない公算で、施設完成の目標時期にも影響を及ぼす可能性がある。増田社長は「しっかり守れるよう頑張っていく」と述べるにとどめた。