宮城、大阪、兵庫の3府県で5日、新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用が始まった。各府県は5月5日まで、感染が急拡大する仙台、大阪、神戸など6市の全飲食店に午後8時までの時短営業を要請、利用者にも「マスク会食」の徹底を求める。実施状況を確認するため、店舗の見回り調査も強化。地域や業種を絞った対策で感染の抑え込みを図る。[br][br] 兵庫県は尼崎、西宮、芦屋の3市も対象となる。重点措置は緊急事態宣言に至る前の対策で、全国的な移動制限などは掛けられない。専門家や自治体のコロナ対策担当者からは「効果は限定的」との声も上がる。[br][br] 西村康稔経済再生担当相は4日のNHK番組で「(3府県の)中心部では急激に感染が拡大している。これを全域に広げないよう重点措置を機動的に活用する」と意義を強調。大阪府の吉村洋文知事は同日、記者団に「集中的な取り組みで何とか感染の波を抑えたい」と話した。[br][br] 3府県は6市の店舗に対し、協力しない客を退出させることや飛沫(ひまつ)感染防止用のアクリル板設置も要請。カラオケ設備の使用は控えるよう求める。要請に応じた店舗には過去の売上額に応じて1日4万~20万円の協力金を支給する。[br][br] 6市以外の市町村でも午後9時までの時短営業を求めるが、宮城県は対象を酒類提供店などに限定。兵庫県は重点措置の4市との往来が多い14市町のみで実施する。[br][br] 3府県全域で不要不急の外出自粛を呼び掛け、イベントは人数を5千人以下に制限するものの、対策の軸はこれまでと同じ時短要請だ。大阪府幹部は「感染の場は職場や大学などにも広がり、経路不明の人も多い。飲食店だけでは拡大を防げない」と指摘する。[br][br] 仙台市中心部のJR仙台駅前や商店街は4日、小雨が降る中でも多くの人が行き交った。同市の会社員皆川勇人さん(49)は「昼に外食している人が多く、時短営業で効果が出るのか」。宮城県の村井嘉浩知事は、全国知事会のオンライン会合後に「緊急事態宣言を経験しておらず、措置は試金石となる」と語った。[br][br] 大阪市の繁華街ミナミでは、5月5日まで休業することにしたダイニングバーも。50代女性店員は「非接触型検温器が届き、準備が整ったのに…」と残念そう。兵庫県尼崎市から買い物に来た介護職員古見安広さん(53)は「仕方ない。協力するべきだ」と話した。