日米韓3カ国が4月下旬にも外相会合を開催する方向で調整していることが判明した。バイデン米政権は3カ国の協力を進め、中国に圧力をかけたい考えだ。ただ、日米が安全保障協力など対中強硬政策を進める一方で、韓国は距離を置く姿勢を崩していない。思惑のずれが浮き彫りとなる中、一致した対応を打ち出せるかは不透明だ。[br][br] ▽対照的[br] 「中国による国際秩序と合致しない行動は、国際社会に政治的、軍事的な課題を提起している」[br][br] 米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が訪日して、16日に開かれた日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会。共同声明では「他者に対する威圧や安定を損なう(中国の)行動に反対する」とも指摘し、強く非難した。[br][br] 一方、18日にソウルで開かれた米韓の外務・防衛閣僚協議の共同声明では中国を名指しせず「国際秩序を損ない不安定にする全ての行為に反対する」との表現にとどめ、対照的な結果となった。[br][br] 韓国側の意向を反映したとみられるが、ブリンケン氏は直後の記者会見で「中国の振る舞いはインド太平洋地域の安定と安全、繁栄を揺るがしている」と批判。外交筋は「声明から抜け落ちた部分を補うため、あえて強調したのだろう」と推測する。[br][br] ▽経済報復[br] 中韓関係は2016年の米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備決定を巡って悪化したが、改善が進んでいる。文在寅(ムンジェイン)政権は習近平国家主席の早期訪韓も目指しており、中国の刺激は避けたいのが本音だ。[br][br] 韓国は中国と経済的な結び付きが強く、北朝鮮に強い影響力を持つ中国が核問題などで役割を果たすことも期待している。THAAD配備に伴う一連の摩擦では、配備先の敷地を政府に提供した韓国ロッテグループが、中国での事業展開で約2兆ウォン(約2千億円)の損害を負ったとされ「経済報復」を受けた記憶も生々しい。[br][br] 日本も米国と共同歩調を取り続ければ、日中の経済関係が悪化するリスクを抱える。中国政府による新疆ウイグル自治区の人権侵害では、米国が発動した制裁に慎重姿勢を堅持。米国がさらに対中強硬を迫れば難しいかじ取りを迫られそうだ。(ワシントン、ソウル共同)