時評(3月29日)

青森県は食用米の新品種「青系196号」を新たな主力品種候補に選定し、2023年度の作付け開始と市場デビューを目指している。既存の主力米「まっしぐら」「つがるロマン」、ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」に続く主力品種に育て、県産米全体の販売.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県は食用米の新品種「青系196号」を新たな主力品種候補に選定し、2023年度の作付け開始と市場デビューを目指している。既存の主力米「まっしぐら」「つがるロマン」、ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」に続く主力品種に育て、県産米全体の販売力強化を図る方針。日本人の“コメ離れ”が続く中、しっかりと生産・販売体制を構築して売り出してもらいたい。[br][br] 青系196号は、全国展開する家庭用向けの「コシヒカリ」「ひとめぼれ」の流れをくむ。県産業技術センター農林総合研究所(黒石市)が09年度から交配を行い、最終候補の2品種から絞り込んだ。[br][br] 良食味で柔らかく粘りがあるのが特長。選定に関わった県の担当者は、日本穀物検定協会の19年産食味ランキングで最高の特Aを初取得したまっしぐらと比較し、「食味に安定感がある」と評価する。[br][br] 倒伏しにくく、高温で米粒にひびが入る「胴割れ」の発生が少ないほか、耐冷性を備えるなど気候の変化に強いため、県内の広範囲で作付けが可能だ。県は今後、県内9カ所に調査ほ場を設けて、地域別の特性を把握し、栽培マニュアルの作成に着手する。名称は一般公募を経て決定する方針。[br][br] 県南地方の生産・販売関係者は新品種に対し、早くも熱視線を送っている。15年度に登場した青天の霹靂は、気候が安定している津軽地方に生産地が限定。県南地方で作付けできる主力品種は、06年度のまっしぐら以来となるからだ。[br][br] 県によると、まっしぐらより高く、青天の霹靂より安い価格帯を想定。販売関係者は「味に見合う価格であれば、固定客の獲得につながる」との見方を示す。[br][br] 一方、全国各地で味や食感にこだわったブランド米など、おいしいコメが続々と誕生しているにもかかわらず、国内のコメ消費量は減少傾向が続く。パンや麺類といった主食の選択肢が増えたほか、新型コロナウイルスによる影響で外食やインバウンド(訪日外国人客)の需要低迷が拍車を掛ける。[br][br] 県南地方で主に作付けされるまっしぐらも業務用の需要があるため、新型コロナで売れ行きが落ち込んだ。生産者は品種の多様化によるリスク分散に期待を寄せる。[br][br] 需給緩和、価格下落、担い手の確保―といった課題は山積している。新品種が県内のコメ作りの活性化に向けた起爆剤になるよう、関係者が一丸となって取り組みを進めてほしい。