【コロナ初確認から1年】地域経済に暗い影 支援継続求める声

飲食店が立ち並ぶ八戸市中心街。本来は歓送迎会シーズンだが、客足は乏しい=26日
飲食店が立ち並ぶ八戸市中心街。本来は歓送迎会シーズンだが、客足は乏しい=26日
青森県内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されてから約1年が経過したが、感染拡大は依然、地域経済に暗い影を落としている。特に飲食や観光・宿泊、交通業界は前例のない打撃を受け、地元のホテルなどが閉業に追い込まれた。大規模イベントや祭りは相.....
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 青森県内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されてから約1年が経過したが、感染拡大は依然、地域経済に暗い影を落としている。特に飲食や観光・宿泊、交通業界は前例のない打撃を受け、地元のホテルなどが閉業に追い込まれた。大規模イベントや祭りは相次いで中止となり、長引く外出自粛で個人消費は冷え込みが続く。雇用環境も悪化し、県内の有効求人倍率は2020年5月以降、9カ月連続で1倍を割る。中小企業や小規模事業者が“コロナ2年目”を乗り越えるため、資金繰りや雇用維持の継続支援を求める声が高まっている。[br][br] コロナ禍の余波は、政府の要請で学校が臨時休校した昨年3月から急速に広がった。同23日に八戸市で初の感染者が確認されてからは消費減退が加速。宴会利用は落ち込み、県南地方では八戸シーガルビューホテル、新八温泉(八戸市)、十和田富士屋ホテルなどが閉館を余儀なくされた。[br][br] 県民の外食控えは長期化し、飲食業界のダメージは深刻の度合いを増す。飲食店が立ち並ぶ八戸市中心街は夜間営業がメインの店舗が多く、会食自粛を背景に客足は激減。祭りやイベントなどの年中行事が中止・縮小となった影響に加え、大型連休や忘新年会などの書き入れ時も失った。[br][br] コロナ禍に対応したテークアウト販売は利益率が低く、業績の回復には至っていないのが実情。売り上げ低迷で事業継続を断念し、閉店や休業に追い込まれた事業者も少なくない。客足は今も戻らず、年度末の送別会でにぎわっていたであろう街には疲弊感が漂う。[br][br] 本来は観光客やビジネス客に人気の八戸屋台村「みろく横丁」は、主に地元の常連客に支えられている。出店者代表の木村健一村長は「店側も利用客も互いに協力して感染防止対策を徹底し、できる限りのことは実行してきた。少人数でも来店してほしい」と話す。[br][br] 飲食業の不振は、取引関係にある食材供給業者やクリーニング業者、移動で利用されるタクシー会社などにも影響を及ぼしている。八戸料飲社交業組合連合会長を兼任する木村村長は、八戸商工会議所が発行したプレミアム付き食事券の消費喚起効果はあったとした上で、「また食事券のような何らかの支援をお願いしたい」と切実に要望する。[br][br] 個人消費の低迷は雇用環境の悪化も招いた。青森労働局によると、県内の有効求人倍率は季節調整値の改訂に伴い、20年5月から9カ月連続で1倍を下回っている。人口や消費が集中する首都圏に今月21日を期限として発令された緊急事態宣言の余波は地方にも広がり、地域経済は浮揚の糸口をつかめていない。[br][br] こうした中、コロナ危機の事業者が懸念するのは資金繰り支援策の動向だ。民間信用調査会社の帝国データバンクによると、20年の県内企業の倒産件数(負債額1千万円以上)は前年比9件減の43件にとどまった。同社は「国の支援策などのセーフティーネットが機能したことで、倒産は抑制された」との見方を示す。[br][br] 中小企業の経営に詳しい地元経済関係者は「昨年は手厚い支援があったが、これからが課題。金融機関の追加融資や行政支援がより重要になる」と指摘。「感染収束後の事業再生には働き手確保が欠かせず、解雇や雇い止めを増やしてはならない。長年かけて築いた地域のサービス業の基盤が崩れないよう、支援の継続を求めたい」としている。飲食店が立ち並ぶ八戸市中心街。本来は歓送迎会シーズンだが、客足は乏しい=26日