天鐘(3月27日)

食べ物の異名は特徴を指す。「畑の肉」といえば大豆。タンパク質が豊富で“お肉もどき”の定番食材でもある。同様に栄養価の類似性から、アボカドは「森のバター」、牡蠣(かき)は「海のミルク」と称される▼ホヤは見た目から「海のパイナップル」。希少価値.....
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 食べ物の異名は特徴を指す。「畑の肉」といえば大豆。タンパク質が豊富で“お肉もどき”の定番食材でもある。同様に栄養価の類似性から、アボカドは「森のバター」、牡蠣(かき)は「海のミルク」と称される▼ホヤは見た目から「海のパイナップル」。希少価値が高いトリュフは「森の宝石」。「海の牧草」はイワシ。魚群が輝く様は風に吹かれた草原のよう。他の魚の餌となり、食物連鎖においても重要な存在とされる▼では「山のウナギ」とは? ナガイモなどのヤマノイモである。ぬめりが共通しているだけではない。ミネラル、ビタミン、タンパク質、消化酵素を多く含み、古くから滋養強壮の食べ物として珍重されてきた▼すっかり雪も解け、青森県南でナガイモの春掘りが盛んだ。出来秋の新物をあえて土中に残し、1~2度の低温で追熟させる。瑞々(みずみず)しさの秋、そして甘みが深い春。“冬眠”を経て迎えた2度目の旬である▼トロトロ、サクサク、ホクホク。火の入れ方によって食感は異なるが、春物のうま味を堪能するには、とろろが一番らしい。イモ類としては珍しく、生で食べられるからこそ。「山の刺し身」とも言えるだろうか▼善玉菌を増やし、免疫力を高める。コロナ禍で注目を集めた食材の一つでもある。旬の野菜は養生につながる。自慢の県産品を大いにいただきたい。ナガイモも感染症との闘いも、粘りが肝要である。