進まぬ規制、増える銃犯罪 コロナ禍の米国

 米コロラド州ボールダーの銃撃事件現場近くに掲げられた銃規制を訴えるプラカード=23日(AP=共同)
 米コロラド州ボールダーの銃撃事件現場近くに掲げられた銃規制を訴えるプラカード=23日(AP=共同)
米南部ジョージア州アトランタと近郊で8人が殺害された連続銃撃事件からわずか6日後の22日、西部コロラド州ボールダーで10人が凶弾に倒れた。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に多数の犠牲者を出す銃撃事件は一時鳴りをひそめていたが、銃犯罪自体は.....
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 米南部ジョージア州アトランタと近郊で8人が殺害された連続銃撃事件からわずか6日後の22日、西部コロラド州ボールダーで10人が凶弾に倒れた。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に多数の犠牲者を出す銃撃事件は一時鳴りをひそめていたが、銃犯罪自体は増加。規制強化が進まない米社会の厳しい現実が再び浮き彫りになっている。[br][br] ▽最少[br][br] 「コロラド州の訴訟で勝利」。殺傷能力の高い武器の所持を原則禁じたボールダーの条例を裁判所が無効と判断し、銃擁護ロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)の関連サイトは15日、歓迎する記事を掲載した。[br][br] 武器所持の禁止は2018年。同年2月に南部フロリダ州の高校で17人が死亡する銃乱射が起き、同様の悲劇を防ぐ目的があった。今月22日の事件は無効判断が示された直後の出来事だった。[br][br] AP通信によると、新型コロナの感染拡大が深刻化した20年、4人以上の犠牲者を伴う銃撃事件の件数は06年以降で最少だった。外出規制などで人が集まる場所や機会が減ったほか、感染拡大で多くの国民が苦しむ中、乱射事件を起こすほどの強い被害者意識や疎外感を抱く人も減ったことが一因に挙げられている。[br][br] ▽圧倒[br][br] 一方、コロナ禍で社会不安が高まった影響で銃の販売数は伸び、連邦捜査局(FBI)によると、購入時に義務付けられる身元調査の件数は20年に約3970万件と前年比約40%も増えた。このためか、銃を使った犯罪自体は増え、米非営利団体によると、20年の銃による全米の死者は前年比約10%増の4万3千人超に上った。[br][br] 銃規制は州によって異なるが、ジョージア州では「投票するより銃を買う方が簡単」(州下院議員)とさえ言われる。アトランタの事件で訴追された容疑者は犯行当日、最初の現場から車で約15分の距離にある店で銃を合法的に購入していた。[br][br] コラムニストのマックス・ブート氏はワシントン・ポスト紙で、米国では人口よりも多くの銃が出回っており、銃犯罪の割合は他の欧米諸国を圧倒していると指摘。「この状況は許容し難い。許容する必要もない」と規制強化の必要性を訴えた。(ロサンゼルス、ニューヨーク共同) 米コロラド州ボールダーの銃撃事件現場近くに掲げられた銃規制を訴えるプラカード=23日(AP=共同)