【連載・漂うコメ】(4)経営努力

農薬散布の効率化を目指し、ドローンの操作方法を学ぶ従業員ら=9日、十和田市
農薬散布の効率化を目指し、ドローンの操作方法を学ぶ従業員ら=9日、十和田市
3月上旬、十和田市相坂のほ場では小型無人機ドローンがプロペラ音を響かせていた。慎重に機体を操っていたのは、十和田市の農業法人「十和田アグリ」(竹ケ原直大代表)のメンバー。この日は、水田の農薬散布へ向けた訓練が行われていた。 同法人は情報通信.....
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 3月上旬、十和田市相坂のほ場では小型無人機ドローンがプロペラ音を響かせていた。慎重に機体を操っていたのは、十和田市の農業法人「十和田アグリ」(竹ケ原直大代表)のメンバー。この日は、水田の農薬散布へ向けた訓練が行われていた。[br][br] 同法人は情報通信技術(ICT)を活用した「スマート農業」を積極的に取り入れる。ドローンによる農薬散布を始めたのは2年前。国の事業でマッチングした東京の化学農薬メーカーとの共同試験がきっかけだった。[br][br] 管理する農地が年々増え続けていることも最新の農業を導入した理由の一つだ。同法人では将来的な地域の農業の担い手として、後継者がいない高齢農家の農地の集約などを進める。所有する水田は2013年の約18ヘクタールから5年で3倍を超える約60ヘクタールとなった。[br][br] 農業経営の大規模化を図る上でICTは強い味方だ。従来の農薬散布では、従業員が歩いて作業に当たり、1日に5ヘクタール前後を終えるのがやっとだった。一方、遠隔操作のドローンは少ない人数で行える上、1日に10~20ヘクタールの散布ができ、大幅な省力化につながっている。[br][br] 最近では、近隣のコメ農家から農薬散布の依頼も受ける。ドローンを扱える従業員は現在4人だが、新たに2人が操作方法に関する研修を受けるなど、人員を増やす方針だ。竹ケ原代表は「担い手が減る中、少人数で作業効率を上げていくために最新技術を積極的に取り入れないといけない」と強調。主食用米の需要が減り、在庫過多となっている現状も踏まえ、「生産コストを抑えることで米価下落へのリスクに対応したい」と将来を見据える。[br][br] 水田の一部を畑に切り替えて高収益化を目指す農業者もいる。三沢市の農事組合法人「フラップあぐり北三沢」(千葉準一代表)は約120ヘクタールの水田で、飼料米の専用品種「えみゆたか」を中心に生産する。「トラクターも入らない」(千葉代表)という農地を水田に改良し、飼料用米を周辺の畜産農家へ供給することで需要を安定確保してきた。[br][br] 加えて青森県と協力して数年前から野菜作りに挑戦。湿害に悩まされながらも、約50アールの畑でニンニク、キャベツ、カボチャなどを栽培してきた。千葉代表(65)は「農業の政策が今後どう変わっていくかは分からない。どのような変化にも対応できるよう、生産の多角化に取り組みたい」と力を込める。農薬散布の効率化を目指し、ドローンの操作方法を学ぶ従業員ら=9日、十和田市