船凍イカ水揚げ、過去10年で最低/八戸港

大中型イカ釣り船による八戸港の2020年度(20年5月~21年3月)の船凍アカイカとスルメイカの水揚げは、数量が計7963トンで19年度より56トン減、金額は計34億2450万円(同年度比17%減)と下落し、数量、金額共に過去10年で最低と.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 大中型イカ釣り船による八戸港の2020年度(20年5月~21年3月)の船凍アカイカとスルメイカの水揚げは、数量が計7963トンで19年度より56トン減、金額は計34億2450万円(同年度比17%減)と下落し、数量、金額共に過去10年で最低となったことが16日、八戸市水産事務所への取材で分かった。金額は新型コロナウイルスの影響が顕著。数量は長引く不漁に加え、日本海の排他的経済水域(EEZ)内でスルメイカ漁が中国船に“締め出された”ことが響いた。[br][br] 同事務所によると、水揚げ期間は20年7月9日~21年3月4日。数量は1万トン割れが3年連続で、金額も初めて40億円台を下回った。市の担当者や漁業関係者によると、金額はコロナ禍に伴う外食需要の減退が直撃。首都圏などの緊急事態宣言もあり、深刻な状況から抜け出せなかった。[br][br] 内訳を見ると、アカイカは6466トン(10%減)、23億6785万円(28%減)。5~9月の前半、各船とも1航海目は大半がアカイカを狙って北太平洋で操業し、2航海目は太平洋と日本海のスルメイカ漁に分かれた。[br][br] 操業する漁船の数が減り数量も減少したが、各船ごとの漁獲はまずまず。半面、金額はコロナや在庫過多などで下落した。中型船の1キロ当たりの単価は19年度の456円に対し、20年度は366円にとどまった。[br][br] スルメイカは1497トンで、極度に振るわなかった19年度の822トンの1・8倍に増えたが、本調子にはほど遠いのが実情。金額も10億5665万円(20%増)と上げ幅は控えめだった。1キロ当たりの単価は19年度の1068円に対し、20年度は705円だった。[br][br] 日本海では昨夏、自国のEEZ内の好漁場「大和堆」に大型の中国漁船が押し寄せ、違法操業を繰り返す問題が顕在化。水産庁は盛漁期に当たる9月末~10月下旬、日本漁船に対し、安全確保のため一時的に漁場から移動することを要請する事態となった。[br][br] 漁は今月まで続いたが、冬場はしけが多く操業日数も限られ、挽回には至らなかった。ある関係者は「中国船がイカを取り尽くした後、大和堆に入っても漁獲できるわけがない。影響は大きかった」と振り返った。[br][br] 21年度の漁期は5月から。漁船の多くは前半アカイカ、後半スルメイカの操業形態を取るとみられるが、数量、金額とも伸び悩む中、漁業関係者の間では「今後の漁自体がどうなるのか」と先行きを不安視する声も漏れる。