【英国ワクチン事情】「効率重視で驚き」 高齢の邦人も接種続々

 新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける満山喜郎さん(右)=2月2日、ロンドン(本人提供・共同)
 新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける満山喜郎さん(右)=2月2日、ロンドン(本人提供・共同)
日本で高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が4月から始まるのを前に、昨年12月以降、高齢者らから優先的に接種が始まった英国でワクチンを接種した70代の在英日本人らは「効率重視で驚いた」と口をそろえた。約3カ月で人口の約3割が1回目の接種.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 日本で高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が4月から始まるのを前に、昨年12月以降、高齢者らから優先的に接種が始まった英国でワクチンを接種した70代の在英日本人らは「効率重視で驚いた」と口をそろえた。約3カ月で人口の約3割が1回目の接種を終えた背景には事務手続きの省略化があるが「間違い防止を優先しがちな日本では難しいと感じる」と指摘した。[br][br] 「接種会場に着いてから出るまでわずか10分程度だった」。在英生活48年の会社経営浜哲郎さん(72)はロンドン北部の医療機関で1月23日に英アストラゼネカ製ワクチン接種を初めて受けた。[br][br] 予約時間は午後3時42分。分刻みの作業がうかがえた。接種会場に着き、数人の列の最後尾に並ぶとすぐ順番に。名前を伝えた担当者は、個人情報を記した書類をファイル棚から取り出し、浜さんに手渡した。[br][br] すぐ横に移動すると、別の担当者から矢継ぎ早に質問された。「発熱は」「アレルギーは」。接種者が予診票に書き込む作業はない。逐一「ない」と即答すると「オーケー、奥の部屋へ行って」。指示された先に待ち合いスペースと接種用の小部屋が複数あった。[br][br] 係が空いた小部屋に順次あてがう。小部屋に入った浜さんは看護師に書類を渡して本人確認が済むと、腕をまくり、あっという間に接種は終わった。[br][br] 副反応に備え待機するのかどうか聞くと「そのまま帰って」と看護師。入り口とは逆にある裏口から出る仕組みで、人が交わらないよう一方通行が徹底されていた。 浜さんは「とにかく効率的。短時間でのアレルギーの確認など、日本ではこうはいかないとも思った」と振り返った。[br][br] ロンドン中心部の薬局で2月に接種した在英国福島県人会の会長、満山喜郎さん(73)も同様の作業を経験。到着して受け付けを済ませてから終了までは15分ほどで、接種後の待機もなかった。満山さんは「行列に並ぶこともなく、不満は全くなかった」と語った。[br][br] ロンドンの南西約270キロのデボン州で1月下旬に受けた在英約50年のジャーナリスト加藤節雄さん(79)は「田舎のがらがらの医療施設で、5分程度で終わった」と話す。予約リストに記載された自身の名前を確認した後、接種部屋に通された。注射を打たれる前に看護師からは「アレルギーはあるか」と聞かれただけだった。[br][br] 英国では米ファイザー製ワクチンも実用化されているが、3人はいずれもアストラゼネカ製で、選択はできなかったという。加藤さんは「流れ作業で接種者の数をどんどん増やしているという印象。ワクチンに過度な期待はしてないが、皆が受ければ感染率は下がると思う」と語った。(ロンドン共同) 新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける満山喜郎さん(右)=2月2日、ロンドン(本人提供・共同)