政府は、21日を期限に首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言の要否について、18日にも対策本部を開いて判断する検討に入った。政府関係者が15日、明らかにした。政府内には期限通りの解除を求める声があるが、一部で新規感染者数に増加傾向がみられることに加え、感染力が強いとされる変異株が全国的な広がりを見せている。政府は4都県の知事や専門家らの意見を踏まえ、慎重に状況を見極める構えだ。[br][br] 菅義偉首相は15日の参院予算委員会で、緊急事態宣言解除の見通しに関し「言える状況ではない。専門家の意見も聞きながら最終的に判断したい」と強調した。自民党役員会では「期限まで1週間を切った。引き続き緊張感を持ち対策を徹底したい」と語った。16日にも関係閣僚が集まり、対応を協議するほか、厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織は17日に会合を開き、感染状況を分析する方針だ。[br][br] 首都圏の新規感染者数は一部で下げ止まり、12日に公表された指標では、東京と埼玉の感染者数は前週と比較して増加した。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は15日の参院予算委で「延長しても解除しても、感染抑え込みの本格的な解決にはならない」と述べ、緊急事態宣言の延長だけでは、これ以上の改善は望めないとの見方を示した。[br][br] 埼玉県の大野元裕知事は記者団に「陽性者数が上がっており、少なくとも現状では解除を要請する段階にない」と述べ、延長を求める可能性に言及する一方で、神奈川県の黒岩祐治知事は首都圏全体の病床使用率の改善などを理由に「解除の方向がいい」と主張した。[br][br] 政権幹部は、新規感染者は大幅に減少し病床確保の状況も改善したとして、解除されるとの見通しを示唆。別の政府関係者は「これ以上宣言を延長しても感染者が減るとは限らない」とし、宣言による対策の継続は限界を迎えているとの認識を示した。