【選択的夫婦別姓巡る文書】丸川氏連名、五輪に火種 ジェンダー平等に逆行

 選択的夫婦別姓を巡る文書送付問題(似顔 本間康司)
 選択的夫婦別姓を巡る文書送付問題(似顔 本間康司)
選択的夫婦別姓を巡り、自民党の国会議員有志が地方議員に、制度導入に賛同する意見書を採択しないよう訴える文書を送付した問題の余波が続いている。地方議会への圧力と捉えられかねない上、再入閣前の丸川珠代男女共同参画担当相も名を連ねていたことを野党.....
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 選択的夫婦別姓を巡り、自民党の国会議員有志が地方議員に、制度導入に賛同する意見書を採択しないよう訴える文書を送付した問題の余波が続いている。地方議会への圧力と捉えられかねない上、再入閣前の丸川珠代男女共同参画担当相も名を連ねていたことを野党が問題視。五輪相も兼務する丸川氏の“信念”が東京五輪・パラリンピックが目指すジェンダー平等に逆行するとの指摘もあり、火種がくすぶる。[br][br] ▽42議長に[br] 「意見を水面下で握りつぶそうとしたのに、まともな回答がない」。市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長は取材に語気を強めた。[br][br] 団体は文書を送った50人に意図などを尋ねる質問状を出したが、回答は丸川氏を含む3人だけ。丸川氏は事務所秘書が電話で「政府の役職に就いている以上、お伝えするのは適切ではない」と実質ゼロ回答だった。[br][br] 文書は1月30日付で、高市早苗前総務相名で自民党籍を持つ42道府県議会の議長に送付。「家族単位の社会制度崩壊を招く」などの理由で反対だと明記した。受け取った自民党の田村琢実埼玉県議会議長は「不愉快だ。地方議会への圧力になりかねない」と批判する。[br][br] ▽国連勧告[br] 一部海外メディアも一連の騒動を報じた。元々、国連女性差別撤廃委員会が夫婦に同じ氏を義務付けるのは差別的だとして日本に繰り返し改善勧告している経緯もある。五輪・パラの組織委員会の森喜朗前会長が女性蔑視発言で辞任し、玉突きで丸川氏が五輪相になったことも重なり、内閣府幹部は「五輪・パラに悪影響が出ないことを祈るしかない」と漏らす。[br][br] 日本でも制度導入の機運は高まりつつある。団体の集計では、2015年までは県議会や市町村議会での賛成の意見書可決は約50件。近年は急激に伸び、20年12月下旬までに計178件に。井田事務局長は「反対派の議員は焦りを感じたのではないか」と分析する。[br][br] ▽選挙争点[br] 衆院選を前に野党も攻勢を強める。丸川氏は別姓反対は閣僚としての見解ではないと強調するが、「反対という結論ありきの方をこのポストに就けた」(立憲民主党の枝野幸男代表)、「ブラックジョークな人事」(共産党の小池晃書記局長)と、菅義偉首相の任命責任を追及する。[br][br] 与党の公明党を含む多くの政党が制度導入に賛成し、野党は衆院選での争点化をにらむ。一方、自民党内では「賛否が拮抗(きっこう)」(菅首相)。党内で足並みがそろわず、急きょ制度導入を議論する検討チームの設置を決め、議論に前向きな姿勢をアピールする。[br][br] 宇都宮大の中村祐司教授(地方自治)は「国会議員50人が名を連ねており、圧力と言わざる得ない」と指摘。丸川氏の対応には「担当大臣は演技者ではない。個人の信念があるのであれば、包み隠さず説明することが必要だ」と指摘する。 選択的夫婦別姓を巡る文書送付問題(似顔 本間康司)