【香港選挙制度見直し】民主化逆行、進む恐怖支配

 2日夜、香港の裁判所での保釈申請を巡る審理を終え、護送車で収容施設に戻った民主活動家、黄之鋒氏(中央)(共同)
 2日夜、香港の裁判所での保釈申請を巡る審理を終え、護送車で収容施設に戻った民主活動家、黄之鋒氏(中央)(共同)
中国の全国人民代表大会(全人代)が11日、香港の選挙制度見直しを決定した。既に昨年6月から香港国家安全維持法(国安法)による「恐怖支配」が進む香港。民主派政治家の排除も相次ぎ、民主化の歩みは完全に終わりを告げ、ついに逆行を始めた。「香港はな.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 中国の全国人民代表大会(全人代)が11日、香港の選挙制度見直しを決定した。既に昨年6月から香港国家安全維持法(国安法)による「恐怖支配」が進む香港。民主派政治家の排除も相次ぎ、民主化の歩みは完全に終わりを告げ、ついに逆行を始めた。「香港はなくなり、中国の都市のようになる」。香港社会には無力感も漂う。[br][br] ▽苦渋の決断[br][br] 「決定は国家主権と発展の利益を守る全国人民の揺るぎない決意を示した」。全人代の栗戦書常務委員長(国会議長)が誇らしげに宣言した。会場の人民大会堂に、大きな拍手が響き渡った。[br][br] だが香港では人々が恐怖の中にいる。今月1日から開かれた、国安法の「国家政権転覆共謀罪」に問われた民主派47人の保釈審理。投獄による家族との離別を恐れ、被告らがむせび泣いた。法廷からの映像には、政治への参加意欲を失った民主派政党幹部らの姿が次々と映し出された。[br][br] 昨年7月の民主派による立法会(議会)選挙予備選に絡む起訴。この間、被告の民主派政党、公民党副主席らは離党と政界引退を表明した。「(予備選も含む)各種選挙への出馬禁止」が保釈条件で、保釈許可を引き出すための苦渋の決断だ。 「民主化に向けた努力は水の泡だ」。民主派最大政党、民主党の劉慧卿元主席が力なく嘆いた。[br][br] ▽奪権路線図[br][br] 「予備選で候補者を選ぶことが政権転覆罪に問われるなんて香港人は想像もしなかった」。民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」の李卓人主席は、何が国安法違反か分からず自主規制が広がっていると話し「恐怖による香港統治」が進んでいると指摘する。[br][br] 習近平指導部の強硬姿勢の背景にあるのは、民主派の勢力拡大に対する警戒感だ。「香港を混乱させる反中分子は立法会で過半数を奪い、推す人物を行政長官に当選させる『奪権路線図』を提示した」。習国家主席の側近の夏宝竜・香港マカオ事務弁公室主任は「反中分子」の目的を「中国共産党の指導する社会主義制度転覆」と断じた。[br][br] 香港の政治学者、林泉忠氏は(1)2019年の区議会(地方議会)選挙での民主派圧勝(2)民主派が立法会の過半数獲得を目指した予備選―の二つを挙げ、共産党が「民主派は中国の香港統治権力を揺るがす勢力と判断した」と分析。「彼らを弱体化させて香港を制御可能にする」ことが今回の決定の最大目的だとみる。 無許可集会参加など九つの罪に問われ、投獄は確実だという李氏。「今では香港人にとって牢屋(ろうや)に入ることも抗議活動の一部だ。恐怖を克服して自由、民主の理想を堅持し活動を続ける」。(香港共同) 2日夜、香港の裁判所での保釈申請を巡る審理を終え、護送車で収容施設に戻った民主活動家、黄之鋒氏(中央)(共同)