【震災10年・地域と原子力】(5・完)石橋勝大横浜町長

使用済み核燃料再処理工場のUPZの範囲拡大を求める石橋勝大町長
使用済み核燃料再処理工場のUPZの範囲拡大を求める石橋勝大町長
―東京電力福島第1原発事故をどう受け止めているか。 原子力の安全神話が崩れたのは大きな衝撃だった。原子力施設が立地する東通村と六ケ所村に隣接する自治体として人ごとではないとの思いを強くした。 町としては、想定外の事態に対応できるよう動いてい.....
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 ―東京電力福島第1原発事故をどう受け止めているか。[br][br] 原子力の安全神話が崩れたのは大きな衝撃だった。原子力施設が立地する東通村と六ケ所村に隣接する自治体として人ごとではないとの思いを強くした。[br][br] 町としては、想定外の事態に対応できるよう動いている。2020年4月1日に開設した複合施設「菜の花にこにこセンター」を原子力防災の新たな拠点に据えた。東北電力東通原発の緊急時防護措置区域(30キロ、UPZ)を想定した避難訓練を実施し、職員や地域住民の原子力防災意識向上を図っていきたい。[br][br] ―東通原発と、使用済み核燃料再処理工場のUPZの範囲設定を適正と考えるか。[br][br] UPZは原子力規制委員会において、科学的な条件を踏まえて適正に審査されていると承知している。ただ、再処理工場は5キロで横浜町は該当しない。[br][br] 村や村議会の思いとしては、町民の安全・安心のためにも、できれば10キロまで広げてほしいとの考えがある。そうすれば当町も範囲に入る。機会があれば、国などにこのような地元の思いがあることを伝えてほしいと、(再処理工場事業者の)日本原燃に話しているところだ。[br][br] ―原子力防災への懸念や課題は。[br][br] 原子力災害が発生した場合、高齢者や外国人に対してどう情報を伝達するかや、どうやって避難行動要支援者を一時集合場所まで避難させるかは課題。行政と地域住民が連携して支援体制を具体的に確立しておく必要がある。また、猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症対策も実施しなければならない。[br][br] ―避難路の整備状況は。[br][br] 複合災害を想定する上で、下北半島縦貫道路の早期全線整備が必要だ。緊急避難時には下北半島の市町村からも多くの住民が通行するため、幹線道路の渋滞が懸念される。解消のために早く完成してほしい。六ケ所村泊地区と横浜町をつなぐ県道泊陸奥横浜停車場も重要な路線だ。曲がりくねった道で冬期間も閉鎖されるので、整備を県に要望している。[br][br] ―電源立地地域対策交付金への認識は。[br][br] 町の重要な財源として、町内の公共施設や道路整備、福祉サービス提供といった事業を進めることができた。地域活性化につなげることができたと思う。[br][br] ただ、立地自治体と額が異なる。横浜町が原発と核燃料サイクル施設の両方と隣り合っているという点で、ほかの地域の隣接自治体とは違うと申し上げたい。立地自治体並みとは言わないが、何らかのプラス要素があって良いのではないかと考えている。 使用済み核燃料再処理工場のUPZの範囲拡大を求める石橋勝大町長