【日米同盟】「対中国」足並み焦点に

米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が今月中旬に来日する方向だ。日本政府は両氏との協議を通じ、日米同盟のさらなる強化を目指す。最大課題は中国対策。中国の覇権主義的な動きを警戒する日本政府は、対中強硬姿勢を示すバイデン政権との協力促.....
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 米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が今月中旬に来日する方向だ。日本政府は両氏との協議を通じ、日米同盟のさらなる強化を目指す。最大課題は中国対策。中国の覇権主義的な動きを警戒する日本政府は、対中強硬姿勢を示すバイデン政権との協力促進に期待するが、足並みをそろえ過ぎると、中国の反発を招きかねないとの懸念もにじむ。北京の習近平(しゅうきんぺい)指導部の視線を意識しながら日米協議に臨むことになりそうだ。[br][br] ▽歓迎[br] 「2長官が真っ先に日本を訪問する意味は大きい。バイデン政権が日米同盟を重視している表れだ」。外務省幹部は、来日準備中の両氏の姿勢を歓迎する。予定通り来れば、日本が最初の訪問国になる可能性が高い。茂木敏充外相と岸信夫防衛相は、2長官との間で開催が見込まれる日米安全保障協議委員会(2プラス2)に臨み、緊密連携を図る考えだ。[br][br] 安倍晋三前首相とトランプ前大統領の下で進められた「自由で開かれた太平洋」構想を、バイデン政権が受け継ぐ姿勢を打ち出したことも、日本にはプラス材料だ。バイデン大統領は就任前、同構想を「安全で繁栄したインド太平洋」と表現。対中けん制の意味合いがあるとされる「自由で開かれた」というくだりを落としたため、米国の対中姿勢が軟化するのではないかとの臆測が日本側で一時流れた経緯がある。[br][br] ▽奏功[br] バイデン氏が、元の「自由で開かれたインド太平洋」へ呼称を戻したのは、政権発足後の1月下旬。官邸筋は「日本の働き掛けが奏功した。外交成果だ」と振り返る。茂木氏は5日の参院予算委員会で、中国対策を念頭に「現下の厳しい安全保障環境で、国際情勢に関し(2長官と)議論する機会を得るのは極めて有意義だ」と述べた。[br][br] だが米国と歩調を合わせて対中姿勢を厳しくすれば、日中関係悪化のリスクは高まる。それだけにバイデン政権が関心を寄せる中国の人権問題対応を巡っては、米国との意見調整に苦慮すると見る向きが多い。[br][br] ▽山積[br] 中国新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への人権侵害に関して日本政府は、国際法上の犯罪になるジェノサイド(民族大量虐殺)と認定した米国と一線を画し「深刻な懸念」(茂木氏)の表明にとどめている。人権を日中関係の火種にしないよう腐心している印象は否めない。香港問題でも、日本政府の対中批判は米国に比べ「抑制的」(日本外交筋)だ。[br][br] インド太平洋構想の柱となる多国間協力の在り方を巡っても、中国との連携も選択肢から排除しない日本と、中国をにらみ軍事分野で周辺国との関係を強めたい米国の立場には開きがある。来年の北京冬季五輪への対応では、米国が中国の人権問題を背景に参加未定としているのに対し、日本は開催に向けた協力を中国に約束しているのが実情だ。課題は山積している。