【震災10年・地域と原子力】(2)越善靖夫東通村長

明確な原子力政策の方向性を示すよう国に求める越善靖夫村長 
明確な原子力政策の方向性を示すよう国に求める越善靖夫村長 
―東京電力福島第1原発事故以降、東通村を取り巻く環境はどう変化したか。 東北電力東通原発1号機の稼働停止、東電東通原発1号機の建設工事中断で村の経済は危機にひんしている。歳入など村の行財政計画も崩れ、財政破綻に追い込まれる可能性もあると認識.....
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 ―東京電力福島第1原発事故以降、東通村を取り巻く環境はどう変化したか。[br] 東北電力東通原発1号機の稼働停止、東電東通原発1号機の建設工事中断で村の経済は危機にひんしている。歳入など村の行財政計画も崩れ、財政破綻に追い込まれる可能性もあると認識している。 [br][br] ―国の「カーボンニュートラル政策」やエネルギー基本計画に対する認識は。[br] 脱炭素化に向け、再生可能エネルギー導入は必要だが、季節や天候の影響を受けやすく、発電量が不安定なものが多い。温室効果ガスを排出せず、安定供給が可能な原子力発電は、ベースロード電源として欠かすことができない重要な電源で、国も脱炭素化の選択肢としている。 [br][br] 国には現在検討を進める第6次エネルギー基本計画で、原発の新増設やリプレース(建て替え)も含め、明確な原子力政策の方向性を示すとともに、国の責任の下、原子力の重要性や必要性について国民の理解を得ていただきたい。[br][br] ―東北電1号機は原子力規制委員会の審査が続く。[br] 東北電は2021年度の安全対策工事完了を目指し、その後、地域の理解を得ながら準備が整った段階で再稼働を目指すとしているが、具体的な時期は示されていない。このような状況が続けば、長い年月をかけて構築してきた事業者と立地地域の信頼関係が崩壊しかねない。東北電には立地地域の思いを受け止めて一日も早い再稼働に向け、審査に取り組んでほしい。[br][br] ―東電1号機については。[br] 中部電、日立製作所、東芝と原発の共同事業化をすることで基本合意し、東通原発では20年度末までに今後の見通しを示したいとしている。一日も早い原発の工事開始を求めたい。[br][br] ―電源立地地域対策交付金や企業版ふるさと納税など村財政の原子力依存が深まっている。[br] 村は原子力との共生の下、住民の生活環境基盤や産業基盤の充実を図っている。これらの財政需要に対応する財源は、電源関連交付金などで措置されるべきものと考える。企業版ふるさと納税は村の地域再生計画に対し、幅広く企業の寄付を募集している。特定の企業や電力事業者を対象にしたものではない。[br][br] ―国、県、事業者に求めたいことは。[br] 東通原発はエネルギー政策基本法の目的に貢献するものであり、日本のエネルギー政策と原子力政策に対し、大きな役割を担うと認識している。原発との共生による村づくりは中途であり、原発の早期再稼働と工事再開、立地地域に対する支援について、今後も村民、村議会と一体となって強く訴えていく。明確な原子力政策の方向性を示すよう国に求める越善靖夫村長