【震災10年・地域と原子力】(1)戸田衛六ケ所村長

核燃料サイクルの着実な推進を求める戸田衛村長
核燃料サイクルの着実な推進を求める戸田衛村長
―東京電力福島第1原発事故から10年間を振り返って。 2012年当時、政権を担っていた民主党内部で核燃料サイクルの見直し論が上がり、六ケ所村議会は再処理事業から撤退した場合に高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の村外搬出などを求める意見書を.....
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 ―東京電力福島第1原発事故から10年間を振り返って。[br] 2012年当時、政権を担っていた民主党内部で核燃料サイクルの見直し論が上がり、六ケ所村議会は再処理事業から撤退した場合に高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の村外搬出などを求める意見書を可決した。[br][br] サイクル政策がエネルギーの安定供給という原点を考えての見直し論だったのか疑問だ。われわれは国策に協力しているという自負があり、受け入れの際に苦渋の決断をしたという事実を重く受け止めてほしい。[br][br] ―今夏にもエネルギー基本計画が新たに取りまとめられる。[br] サイクルで資源を有効活用するという考え方をしっかりと位置付けていくべきだ。現政権が掲げる(50年までに企業活動で生じる温室効果ガス排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラルに向けても、サイクルは必要だ。[br][br] 再処理工場の役割からすると、原発の増設やリプレース(建て替え)の方向性も示すべきで、国がきちんと関与してほしい。[br][br] ―再処理工場の完成目標が22年度上期に迫るが、原子力防災に対する考えは。[br] 村は福島の事故の教訓を踏まえ、自然災害や原子力災害などに関する避難計画を策定し、訓練に力を注いできた。ただ、訓練をするたびにさまざまな課題が見えてくる。訓練をやったからといって備えが終わったと考えず、さらに安全を醸成していきたい。[br][br] 再処理工場の避難計画は年度内をめどに策定する。青森県が示した避難の基本方針では村の南側に逃げるルートが提示されたが、複合災害となれば利用が難しい国道もある。下北半島縦貫道路の活用も含め西側のルートを検討している。[br][br] ―再処理工場の安全性や操業時期について。[br] 長いスパンの中でいろいろなトラブルが生じてきたが、健康を害するようなものは起きていないと考えている。一方で、年月が経過している設備の健全性をどう確認していくのか。原子力規制委員会による確認を注視したい。[br][br] 着工から28年を費やし、完成時期は(時期を明示しなかった例を含め)25回延期されてきた。税収面などへの影響もある。日本原燃には計画通りの完成と安定操業を求めたい。[br][br] ―サイクル施設がなかった村の姿を想像できるか。[br] そもそも、むつ小川原開発が頓挫し、サイクルが浮上した。これがなかったら、大人が都市に出稼ぎに行かざるを得ないような寒村のままだったろう。[br][br] 今は人、もの、金がそろっている。サイクル事業が続いているうちに、別の産業を育てたい。[br]   ◆   ◆[br] 未曽有の被害をもたらした福島第1原発事故から間もなく10年となる。原子力施設が集中立地する青森県で、立地自治体や周辺地域は今、原子力との関わりをどう考えているのか。首長の思いを聞いた。核燃料サイクルの着実な推進を求める戸田衛村長