天鐘(3月7日)

増長する主君、苦悩する家臣。天下泰平の夢を前に2人はすれ違う。哀しみを胸に決起した明智光秀と、納得の最期を迎えた織田信長。先のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は、深い関係性ゆえの愛憎を描いた▼独自の解釈が話題となった。「本能寺の変」は戦国史の.....
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 増長する主君、苦悩する家臣。天下泰平の夢を前に2人はすれ違う。哀しみを胸に決起した明智光秀と、納得の最期を迎えた織田信長。先のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は、深い関係性ゆえの愛憎を描いた▼独自の解釈が話題となった。「本能寺の変」は戦国史のミステリー。怨恨(えんこん)、野望、黒幕と諸説ある。そんな光秀が事を起こす前に相談していたら…。日本弁護士連合会の「戦国法律相談アニメ」が評判だ▼事務所の門をたたいた光秀は疲弊した表情。信長から受けた暴言や暴力を列挙し、怒りに身を震わせて刀を振り上げる。これを六法全書で受け止める弁護士。法律で解決策を探るよう諭し、謀反をとどまらせる▼アニメは全8話。ネット上での風評に傷つく石田三成、突然の解雇宣告に揺れる大奥の面々、追放された山奥で借金に苦慮する真田幸村といった具合。結びに法律相談センターの利用を呼び掛ける▼ある弁護士の発案だという。お堅いイメージを覆す柔軟な着想に感心する。一方で、パワハラ、誹謗(ひぼう)中傷、不当解雇、多重債務と昨今を象徴する問題なのに、時代がさほど変わっていないような錯覚にも陥る▼本能寺の変は、生と死が隣り合わせだった戦国の世の悲劇。そう位置付けた場合、悩みを抱える人々の悲しい結末は、時が進んだはずの現代に似つかわしくない。いじめも、虐待も、社会を挙げて防ぐ手だてを考えたい。