【各国のワクチン接種】有力者の割り込み接種、社会問題化

 各国の首脳らのワクチン接種
 各国の首脳らのワクチン接種
世界で新型コロナウイルスワクチン争奪戦が続く中、各国で首脳ら有力者が割り込んで接種を受ける事態が続出し問題化している。接種に抵抗感を持つ人が多い国では、就任前のバイデン米大統領のように早い段階で接種し安全性をアピール。リーダーは先に打つべき.....
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 世界で新型コロナウイルスワクチン争奪戦が続く中、各国で首脳ら有力者が割り込んで接種を受ける事態が続出し問題化している。接種に抵抗感を持つ人が多い国では、就任前のバイデン米大統領のように早い段階で接種し安全性をアピール。リーダーは先に打つべきか、打たざるべきか、激しい論争が起きている。[br][br] ▽根強い不信[br][br] 「ワクチンを打てる環境にある全ての人にお願いする。接種は道徳的な義務だ」。国連のグテレス事務総長は1、2月に受けた投与の様子を公表、接種は流行収束へ不可欠だと訴えた。[br][br] ただ、懐疑論は接種件数最多の米国でも根強い。1月末~2月頭の調査では、3人に1人が消極的。「副反応が心配」「ワクチンを信用していない」が主な理由だ。バイデン氏は昨年12月、接種をテレビ中継し懸念払拭(ふっしょく)に注力。一方、懐疑派が多い支持者に配慮したのか、トランプ前大統領は1月に接種したのに公表しなかった。[br][br] イスラエルでは昨年12月、国民への投与に先立ち、ネタニヤフ首相の接種を生中継。ハンガリーのオルバン首相も2月、中国医薬集団(シノファーム)製の接種を受けたと発表し「体調は万全だ。恐れる必要はない」と積極接種を求めた。[br][br] 一方、韓国では文在寅大統領を接種第1号とするかが政治問題化。与野党間で「元首は実験台なのか」「国民は大統領の毒味役ではない」と応酬となった。菅義偉首相は「順番が来たら率先して接種したい」とし、優先的に受ける可能性を否定した。[br][br] ▽腐敗と格差[br][br] 接種割り込みが特に問題化しているのが中南米などの途上国だ。ペルーでは2月、ビスカラ元大統領が在任中の昨年10月に治験中のシノファーム製を秘密裏に接種していたことが発覚。「治験に参加したつもりだった」と釈明したが、妻や兄の接種も判明した。「最後に接種する」と公言していた保健相や公務員ら500人近くも接種が明らかになり、「ワクチンゲート」と呼ばれるスキャンダルに発展した。[br][br] アルゼンチンでも保健相が知人らにロシア製接種の便宜を図ったことが発覚し辞任した。主要閣僚や元大統領らが接種していたことも分かり、国民は「VIPワクチン」と非難。2月末に抗議デモが行われた。[br][br] エクアドルでも保健相が母らを優先接種させ辞任。ブラジルでは優先順位が低い地域の有力者らが割り込みする例が報じられた。接種するふりをして空の注射を行った例もあり、横流しが目的とみられる。汚職がはびこり、格差が激しい社会背景がワクチン配分にも影響している。(サンパウロ、東京共同) 各国の首脳らのワクチン接種