【震災10年】保護者に引き渡し後、津波犠牲96人

 岩手、宮城、福島3県で保護者に引き渡し後、犠牲となったことが判明した園児・児童・生徒数
 岩手、宮城、福島3県で保護者に引き渡し後、犠牲となったことが判明した園児・児童・生徒数
2011年の東日本大震災で、地震を受けて保育園・幼稚園から保護者に引き渡された後、津波で犠牲になった園児が岩手、宮城、福島3県で少なくとも96人に上ることが4日、共同通信の調査で分かった。園に残った子どもは集団避難で無事だった施設が多い。国.....
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 2011年の東日本大震災で、地震を受けて保育園・幼稚園から保護者に引き渡された後、津波で犠牲になった園児が岩手、宮城、福島3県で少なくとも96人に上ることが4日、共同通信の調査で分かった。園に残った子どもは集団避難で無事だった施設が多い。国は引き渡しのルールづくりを促すが、詳細は施設側に委ねられ、保護者対応などは課題のままだ。[br][br] 3県では公立小・中学校でも、保護者が地震後に引き取った120人が犠牲になったことが共同通信の調査で既に判明している。幼保との合計は216人以上になった。[br][br] 津波で人的被害が出た3県の沿岸36市町村を対象に、自治体の担当部局のほか、一部の幼稚園や保育園にも尋ねた。[br][br] 迎えに来た保護者に引き渡した後、死亡・行方不明になったのは少なくとも▽岩手県が保育園37人・幼稚園4人▽宮城県が保育園44人・幼稚園8人▽福島県が保育園2人・幼稚園1人。閉鎖した施設や、記録が残っていない自治体もあり、さらに多い可能性がある。[br][br] 巨大地震の発生は午後2時46分。多くの保育園で、園児は昼寝中か起床直後だった。幼稚園は園児が帰宅済みの施設が多かったが、預かり保育や体操教室などで残っていた園児もいた。津波はおおむね30分~1時間後、3県の沿岸に達した。[br][br] 犠牲になった園児の多くは、保護者と移動中か、自宅などで津波に遭ったとみられる。[br][br] 一般に親が引き渡しを求めれば、施設が拒むことはできないとされる。大震災後、文部科学、厚生労働両省は引き渡し方法の確認や、保護者とのルールづくりなどを施設側にそれぞれ求めた。[br][br] 今回、宮城県女川町は「津波警報や注意報が解除されるまで引き渡しはしない」と回答。岩手県陸前高田市は「浸水想定区域を通らずに自宅へ避難できる場合のみ引き渡す」との方針を各園に伝達しているとした。[br][br] 文科、厚労両省によると、引き渡し後も含めた全体の犠牲者数は、ともに12年時点で、幼稚園児が3県で死亡84人。保育園児は死亡95人、行方不明22人。 岩手、宮城、福島3県で保護者に引き渡し後、犠牲となったことが判明した園児・児童・生徒数