【予算案衆院通過】関門クリアも試練次々 コロナ対応、長男接待問題…

 衆院本会議で2021年度予算案が可決され、一礼する(右から)菅首相、麻生財務相ら=2日午後
 衆院本会議で2021年度予算案が可決され、一礼する(右から)菅首相、麻生財務相ら=2日午後
2021年度予算案が衆院を通過し、年度内成立が確定した。今国会の関門を一つクリアした菅義偉首相だが、行く手には試練が次々待ち構え、巻き返しの端緒は見えない。新型コロナウイルス対応は正念場を迎え、長男正剛(せいごう)氏らによる総務省幹部接待問.....
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 2021年度予算案が衆院を通過し、年度内成立が確定した。今国会の関門を一つクリアした菅義偉首相だが、行く手には試練が次々待ち構え、巻き返しの端緒は見えない。新型コロナウイルス対応は正念場を迎え、長男正剛(せいごう)氏らによる総務省幹部接待問題がのしかかる。与党の苦境を反映するように地方選は振るわず、焦点の衆院解散戦略も描き切れない。難題処理の成否が政権の命運を左右する。[br][br] ▽いらだち [br][br]「感染拡大を繰り返さないのは当然だ。何が一番必要か考え、対策をしっかりやる」。予算案の締めくくり質疑が行われた2日の衆院予算委員会。首相は新型コロナの「第4波」を防ぐと覚悟を示した。[br][br] 予算の年度内成立確定について、逆風続きの政権を立て直す足掛かりにしたい首相。早々に首都圏への緊急事態宣言解除の可否を巡り難しい判断を迫られる。7日の期限ぎりぎりまで見極めると説明する裏で「経済優先で解除したがっている」(側近)のは明らか。予算案の衆院通過後、官邸で記者団の質問に応じた際もわざわざ「経済回復に取り組む」と強調した。[br][br] だが一筋縄ではいかない。小池百合子東京都知事ら首都圏の知事から、新規感染者の減少鈍化の観点から慎重検討を求める声が相次ぐ。自民党と連立を組む公明党の幹部も「厳しい」と指摘する。拙速に解除して感染急拡大を招けば、国民の強い批判にさらされるのは確実だ。立憲民主党の江田憲司代表代行は記者会見で「(その場合は)首相に責任を取って代わってもらう」と宣告した。[br][br] 首相がコロナ対策の切り札と頼むワクチンは、安定供給の見通しが立たず、綱渡りの状況が続く。接種実務を担う自治体のいらだちを肌身に感じる官邸筋は「何とか乗り切れるよう祈るしかない」と本音を漏らした。[br][br] ▽体力[br][br] 正剛氏らの接待問題も政権運営の足かせになるのは間違いない。同氏が放送事業会社に就職した経緯に関し、首相は2日の予算委で「知らないうちに入社した」と述べ、自らの関与を否定。長男との距離を演出した。[br][br] 鶏卵業者による農林水産省幹部違法接待の問題もくすぶる。野党は政権の体力をそごうと「忖度そんたく接待政治」「行政がゆがめられた」とさらなる印象付けを狙う。立民幹部も「今日で不祥事追及が一段落すると考えるのは大間違いだ」と“戦闘継続”を明言した。[br][br] ▽視界不良[br][br] 接待問題のみならず、所属議員による夜の銀座クラブ遊興など政府、与党にスキャンダルが止まらない今国会。自民党閣僚経験者は「予算の年度内成立にこぎ着けたが、楽観視してはいけない。地元に帰れば風当たりは違う」と身構える。[br][br] 事実、地方選では不振が目立つ。自民は1月の北九州市議選で現職6人が議席を失い、党内に衝撃が走った。全員当選を常に目指す公明も埼玉県戸田市議選で1人が次点に沈んだ。[br][br] 4月25日には参院広島選挙区再選挙など国政3選挙の投票日が控える。自民中堅は「コロナ対応や不祥事への国民の不満が全部返ってくる」と神経をとがらせる。[br][br] 今年最大の政治決戦である衆院解散・総選挙を巡る首相戦略も視界不良だ。自民幹部は「コロナで衆院選を行う状況ではない。解散は遠い」と見立てる。10月の任期満了が近づけば「追い込まれ解散」の色合いが濃くなるだけに、政権維持に向けた首相の苦悩は続く。 衆院本会議で2021年度予算案が可決され、一礼する(右から)菅首相、麻生財務相ら=2日午後