2021年度予算案は2日の衆院本会議で与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。憲法の衆院優越規定に基づき20年度内の成立が確定した。一般会計総額は106兆6097億円で過去最大。新型コロナウイルス禍を踏まえ、菅義偉首相は感染抑止と打撃が広がる経済の再生に全力を挙げる方針だ。野党はコロナ対策経費が不十分と批判。違法接待問題などと併せ参院審議で追及を続ける。[br][br] 首相は記者団に「20年度第3次補正予算と合わせて切れ目のない政策を実行に移し、最大の課題であるコロナ感染症の収束に向けて全力を挙げて取り組む」と表明。「国民の命と暮らしを守り、経済の回復に取り組む」と決意を示した。[br][br] 21年度予算案は、コロナを巡る19兆円超の追加経済対策経費を盛り込み1月に成立した第3次補正予算と一体で編成。コロナ対策の予備費として5兆円が盛り込まれた。社会保障費は過去最大の35兆8421億円を計上。防衛費も5兆3422億円に膨らみ、一般会計総額は9年連続で過去最大を更新した。[br][br] 採決で立憲民主、共産、日本維新の会、国民民主各党は反対した。国民の玉木雄一郎代表は記者団に対し、1月の緊急事態宣言再発令前に編成されたとして「感染拡大の芽を摘み取るため不可欠なPCR検査拡充などが抜けている。ピントがずれている」と指摘した。[br][br] 本会議に先立つ予算委員会の質疑では、新型コロナワクチン接種の状況が衆院の解散時期に与える影響を野党が質問。首相は「コロナ収束のために全力を尽くすのが最優先だ。任期も近づくから、その段階で考えるのが当然だ」と述べるにとどめた。[br][br] 野党は予算委で、現金給付の追加などコロナ対策の拡充を求める予算案の組み替え動議を提出したが、否決された。[br][br] 参院は3、4両日、首相と全閣僚が出席する予算委の基本的質疑を実施する。憲法の規定により、予算案は参院が採決しなくても31日には自然成立する。与党は自然成立前の成立を目指す。