大手電力会社が海外に保有するプルトニウムの消費策について、電気事業連合会は2日、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料として再利用するプルサーマルの実施状況に応じ、各社間で融通し合う具体案を示した。対象原発が未稼働の会社保有分を再稼働した会社に移したと見なし、国全体として総量を減らす方向で検討に入る。[br][br] 清水成信副会長が原子力委員会の定例会合で明らかにした。原子力委は2018年に改定したプルトニウム利用に関する指針で、海外保有分の着実な削減に向けて事業者の連携・協力を促しており、電事連がこれに応えた格好だ。[br][br] 過去に使用済み核燃料の再処理を海外に委託していた日本は19年末時点で、保有量の約8割に当たる約36・6トンを英仏(うち英約21・2トン、仏約15・4トン)で保管している。ただ、清水氏は「英国分はMOX工場が閉鎖したことにより、保有するプルトニウムを英国で加工できない」と説明した。[br][br] このため選択肢の一つとして、プルサーマル進展を見通せない会社が保有する仏分を帳簿上で英分に移し、代わりに進展している会社の英分を仏分に移すことで、先行してプルトニウムを消費できる原発に仏分を集中させる考えを示した。[br][br] 清水氏は「自社で保有する分は自社の責任で消費するのが大前提」としつつ、「成立性を含めて関係各所と調整検討を進めていく」との方針を示した。[br][br] 一方、プルサーマル対象のうち再稼働している原発は関西電力高浜3、4号機(福井県)など4基にとどまる。電事連は「30年度までに少なくとも12基」との新たな計画を公表したが、会合で委員からは「非常に難しいと思う」(元外交官の佐野利男氏)との意見も出た。