東京五輪の聖火リレーのスタートが25日に迫る中、著名人ランナーの辞退がドミノ倒しのように相次ぎ判明している。「スケジュールの都合」とするケースが多いが、新型コロナウイルスの感染拡大につながる「密」を避けたいとの思いもあるようだ。「参加するメリットがなくなっている」。イベント自体の“地盤沈下”を指摘する声もある。[br][br] 真っ先に辞退が明らかになったのは、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」のメンバーでコメンテーターとしても活動する田村淳さん。大会組織委員会の森喜朗会長(当時)が「コロナがどういう形であろうと必ず大会を開催する」と発言したことを疑問視し、愛知県犬山市での参加を取りやめることを先月3日に公表した。[br][br] 富山県で走る予定だった2016年リオデジャネイロ五輪柔道金メダリストの田知本遥さんが昨年春、愛知県で走る予定だった将棋の藤井聡太二冠が昨年秋に辞退を申し出ていたことが判明。歌手五木ひろしさん、シンガー・ソングライター阿部真央さん、俳優玉城ティナさんは、それぞれ福井県、大分県、沖縄県での参加を「スケジュールが合わなくなった」との理由からキャンセルした。[br][br] 組織委は、著名人ランナーには競技場や公園など密対策を施せる場所で走行してもらうことを想定している。ただ、田村さんが「沿道に人を集める必要がなければ、タレントは身を引くべきだ」とコメントしているように、参加することで雑踏発生を招きかねない芸能人らは微妙な立場に置かれている。[br][br] コロナ禍で、東京五輪、聖火リレーのブランド力が低下しているとの指摘もある。コラムニストの辛酸なめ子さんは「大会自体開かれるかどうか分からない上に、女性蔑視発言もあった。有名人にとって走るメリットがなくなっている」と話している。