時評(3月1日)

岩手県北地方の縫製業者は、高い技術力を武器に有名ブランドの受注生産などを数多く手掛け、長年にわたり日本のアパレル業界を支えてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で昨年から受注が激減し、苦境に立たされている。 背景には、緊急事態宣言の発令に.....
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 岩手県北地方の縫製業者は、高い技術力を武器に有名ブランドの受注生産などを数多く手掛け、長年にわたり日本のアパレル業界を支えてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で昨年から受注が激減し、苦境に立たされている。[br][br] 背景には、緊急事態宣言の発令に伴う百貨店の売り上げの大幅減がある。日本百貨店協会の調査によると、全国の百貨店の衣料品売上高は、1回目の宣言が発令された昨年4月が前年同月比82・7%減、5月が同74・1%減。各業者は百貨店でブランド展開する大手メーカーとの取引を中心としており、大きな打撃を受けた。[br][br] 百貨店の売上高はその後も前年同月を下回る状況が続き、年明けにはコロナのさらなる流行拡大で首都圏を中心に宣言が再発令された。各業者は、国から受注したマスクや医療用ガウンの製造でしのぎながら、打開策を模索していたという。[br][br] こうした状況の打破を目指し、岩手県の支援事業「イワテメイド アパレル プロジェクト」が本格的に動きだした。各業者の強みを生かした自社商品を開発し、ブランド化して販売することで、受注だけに頼らず収益力を強化する取り組みだ。[br][br] プロジェクトには県内の6社が参加。うち、縫製業の盛んな県北からは岩手モリヤ(久慈市)、二戸ファッションセンター(二戸市)、日本ソーイング岩手工場(一戸町)、ナカイズミ野田工場(野田村)の4社が加わった。[br][br] 各社は昨年10月から自社商品の開発に着手。産地の強みを生かした漆染めのシャツや、思い出の洋服をポケットの裏地にして仕立てるオーダースーツなど、高い技術を駆使した個性豊かな自社商品を約2カ月かけて完成させた。[br][br] 2月20日には、盛岡市内で商品の発表会を開催。モデルが実際に着用してステージに立ったほか、各社の代表者がこだわりやセールスポイントを発表した。あいさつに立った保和衛副知事は「コロナへの反撃ののろしを上げるプロジェクトにしよう」と力を込めた。[br][br] プロジェクトをきっかけに、県北地方の業者による魅力的な自社商品が誕生した。コロナ禍でこれらを広くPRするためには、インターネットを活用した販路拡大も重要になるだろう。[br][br] これらの商品は、県のウェブサイト「買うなら岩手のものバーチャル物産展」で購入できる。地元の商品を地元の人が積極的に買うことで、地域振興にもつながっていくはずだ。