天鐘(3月1日)

「燎原(りょうげん)」とは、野原を焼くこと。「燎原の火」は、勢いが激しく、止められぬ例えを言う。1週間以上も燃え続ける、栃木県足利市の山林火災に浮かんだ言葉である▼難航する消火活動も、ようやく先が見えてきたか。「1日にも鎮圧できる」(同市).....
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 「燎原(りょうげん)」とは、野原を焼くこと。「燎原の火」は、勢いが激しく、止められぬ例えを言う。1週間以上も燃え続ける、栃木県足利市の山林火災に浮かんだ言葉である▼難航する消火活動も、ようやく先が見えてきたか。「1日にも鎮圧できる」(同市)というから、住民は一安心かもしれない。とはいえ、再びどこから燃え上がるのか分からないのが火の怖さ。実際には、まだ気は抜けない▼「鎮圧」とは、消火活動で火勢が弱まった状態、「鎮火」は、火が完全に消え、再燃の恐れがないことだという。「慎重に、確実に」が、消防隊員の鉄則と聞く。万事に通じる心構えにも聞こえる▼さて、こちらも下火になったとの判断である。首都圏4都県を除く、6府県の緊急事態宣言が昨日で終わった。新規感染者の減少などが決め手らしい。確かに喜ばしいのだが、同時に本当に大丈夫かとの思いも頭をもたげる▼やはり、くすぶるのは、気の緩みが招く「反動」への不安だ。ただでさえ活動的な季節の始まりである。巣ごもりからはじけた風が街に吹く。宣言解除への懸念が専門家の中にあるのも気にかかる▼枯れ葉の下に、木の陰に、ウイルスの「残り火」が潜む。ひとたび風を受ければ、あっという間に燃え広がりかねない。完全な“鎮火”までは遠い今、改めて胸に刻みたい「油断大敵」。第4波が燎原の火となって訪れては、元も子もない。