【記事使用料支払い】巨大IT「ただ乗り」批判かわす メディア支配懸念も

 グーグルとフェイスブックの新しいニュースサービス
 グーグルとフェイスブックの新しいニュースサービス
米IT大手のグーグル、フェイスブック(FB)が新たなニュースサービスを展開し、報道機関に記事の使用料を払うことで相次ぎ合意している。検索サイトなどに無料で記事や見出しが表示される「ただ乗り」が問題視される中、両社にとっては批判をかわす狙いが.....
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 米IT大手のグーグル、フェイスブック(FB)が新たなニュースサービスを展開し、報道機関に記事の使用料を払うことで相次ぎ合意している。検索サイトなどに無料で記事や見出しが表示される「ただ乗り」が問題視される中、両社にとっては批判をかわす狙いがある。報道機関は収益改善につながるが、IT大手によるメディア支配への懸念もくすぶる。[br][br] ▽日本でも計画[br] 「世界中のジャーナリズムにプラスの作用をもたらすだろう」。米有力紙ウォールストリート・ジャーナルなどを傘下に持つ米メディア大手ニューズ・コーポレーションのトムソン最高経営責任者(CEO)は2月半ば、グーグルとニュース提供で合意した声明で、こう強調した。[br][br] グーグルは昨年、新サービス「ニュースショーケース」を立ち上げ、報道機関側に3年間で10億ドル(約1060億円)を支払うと発表した。ドイツやブラジルなどで開始し、日本でも展開する計画だ。契約したメディアは500を超えた。[br][br] FBも2019年、新サービス「フェイスブックニュース」をアプリ内で始め、米英で記事の配信元に対価を支払っている。ドイツやフランスでも交渉中だ。今後3年で少なくとも10億ドルとしている。[br][br] ▽クジラと小魚[br] グーグルとFBが報道機関との契約を急ぐのは、オーストラリアや欧州で記事の対価支払いを巡る規制強化が進んでいるためだ。[br][br] オーストラリアでは規制法案が可決。IT大手にメディア企業との間で記事の使用料に関する交渉を義務付け、一定期間内に合意できない場合は独立した仲裁機関が支払い条件を決定する。従わない場合は罰金を科す。[br][br] グーグルなどに批判的な米マイクロソフトのスミス社長は、IT大手を「クジラ」、報道機関を「小魚」に例え、契約交渉はメディア側が不利だと指摘。仲裁機関が介入するオーストラリアの法制化を支持する。[br][br] 米メディアなどによると、カナダの担当相は、同様のルール制定を進める考えを示し、オーストラリアのほかフィンランド、ドイツ、フランスの当局と協議したという。米下院議員(共和党)も超党派で、小規模な報道機関の交渉を支援する法案を提出する計画を明らかにしている。[br][br] ▽不公平[br] FBのクレッグ副社長(元英副首相)は2月24日、報道業界の苦境に一定の理解を示した上で「われわれを損失の穴埋めの資金源とみなしているのは分かるが、白紙の小切手まで要求できるだろうか」と過大な求めには応じない姿勢を示した。[br][br] グーグル親会社アルファベットの20年12月期の純利益は402億ドル(約4兆3千億円)、FBは291億ドルに上り、新サービスへの支出額は、わずかだ。報道機関との交渉は両社が主導しているとみられ「不公平で不透明」(フランスメディア)との指摘も出ている。[br](シドニー、ニューヨーク共同=板井和也、吉無田修) グーグルとフェイスブックの新しいニュースサービス