政府が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を一部解除すると表明したことを受けた27日の全国知事会オンライン会合では、各知事から「緩み」を警戒し、対策強化を求める発言が相次いだ。感染が再拡大すれば東京五輪・パラリンピック開催が危ぶまれるとの指摘も。宣言対象外の地域では飲食業などへの国の支援が薄いとして「支援格差」への不満も依然強い。[br][br] ▽緊張感[br] 「一番重要なのは感染再拡大をいかに起こさせないかということ。解除という言葉はどうしても緩みを招く」。政府が28日までで宣言を解除する6府県のうち京都府の西脇隆俊知事が強調すると、大阪府の吉村洋文知事も「3~4月は人の移動が多く、非常に警戒しないといけない時期だ。謝恩会や歓送迎会などがあるが、宴会は控えてもらいたい」と呼び掛けた。古田肇岐阜県知事は「昨年3月下旬の緩みの反省、教訓を生かしたい」と緊張感を漂わせた。[br][br] 3月7日まで宣言が延長されている首都圏4都県のうち神奈川県の黒岩祐治知事は「何としても7日で終わらせようと力を入れている。解除された地域も含め、国民の気の緩みを防ぐため力強いメッセージが必要だ」として、国や自治体の発信強化を求めた。[br][br] 五輪開催への危機感を示したのは広島県の湯崎英彦知事。「感染が(全国に)飛び火すれば、五輪開催も経済回復もままならなくなる。感染を低いレベルでコントロールする必要がある」と強調した。達増拓也岩手県知事も「五輪開催は首都圏の感染者をほぼゼロにできるかどうかにかかっている」と語った。[br][br] ▽切実[br] 緊急事態宣言の対象地域では、営業時間短縮要請などに応じた飲食業者らに国から手厚い支援が出る。宣言対象外の島根県の丸山達也知事が「時短要請が必要ない地域には支援がない。宣言の副作用は全国に及び、県内の飲食業は惨憺(さんたん)たる状況。早急な支援をお願いしたい」と発言すると、同調する知事が相次いだ。[br][br] 宮崎県の河野俊嗣知事は「宣言の有無にかかわらず、大きな経済的影響が出ている」と不満を表明。滋賀県の三日月大造知事も「大変な不公平感が出ている。宣言対象外地域の飲食店も広く支援する枠組みを早急に創設すべきだ」と主張した。[br][br] 疲弊する地域経済への危機感を背景に、観光支援事業「Go To トラベル」の段階的な早期再開を求める声も高まっている。豊富な温泉など観光産業が盛んな大分県の広瀬勝貞知事は「トラベルの一時停止で観光関連業は相当なダメージを受けている。再開に当たり、弾力的に運用できるようお願いしたい」と切実な声を上げた。