八戸学院大は26日までに、包括連携協定を結ぶ三戸町の農業労働力確保へ向け、2020年度に町内や首都圏などで実施した農業に関する意識調査の結果を公表した。いずれの年代も7割以上が農業に「良いイメージ」を持っていたが、職業として選択する可能性は最高でも2割ほどにとどまった。産業としての価値を認める一方、就農への関心が低い実態が明らかになり、同大は「実際の仕事や暮らしを知ってもらうための情報発信が重要だ」と指摘する。[br][br] 調査は昨年12月から1月にかけて実施。三戸中1~3年生198人と三戸高1~3年生111人から書面で、八学大生74人と首都圏・東北6県に住む20~69歳の939人からインターネットで回答を得た。[br][br] 「農業のイメージ」で「とても良い」「やや良い」と答えた割合は、中学生71・2%、高校生78・4%、大学生89・1%、首都圏・東北6県73・4%で、特に大学生が高かった。[br][br] 一方、「職業として農業を選択する可能性」で「大いにある」「ややある」と答えた割合は、中学生17・7%、高校生6・3%、大学生20・3%、首都圏・東北6県23・4%にとどまり、特に高校生が低かった。 同大地域経営学科の堤静子教授は「農業は食料を支える産業として良いイメージを持たれているが、『重労働』『収入が不安定』という印象が強く、職業として選択されづらくなっている」と分析。「実際は作業の機械化や効率化が進み、経営の仕方次第でしっかり収入を得られる。情報発信や体験の機会を増やし、実情を知ってもらうことが重要だ」と話す。[br][br] 今月19日には町中央公民館で調査報告会が開かれ、結果の取りまとめを行った学生と地元農家が意見を交わした。[br][br] 同科3年の小川正太さん(21)は「会社員なら業務内容や待遇が分かりやすいが、農業は収入や災害のリスクなど不透明な部分が多い。どう情報を出していけばいいかを今後も農家と一緒に考えたい」と強調。[br][br] 泉山農業組合で青年部長を務める藤原剛さん(53)は「経営ができれば農業ほど魅力のある仕事はない。多くの人に作業を体験してもらい、理解を進められたら」と話した。