【東証1200円急落】緩和マネー、市場揺らす

 マネーの流れ
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26日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比1202円の大幅安で取引を終えた。引き金となったのは日米長期金利の急速な上昇だ。新型コロナウイルスへの対応で各国の中央銀行が大量に供給した緩和マネーは、有利な運用先を求めて市場を揺らす。 ▽株高け.....
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 26日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比1202円の大幅安で取引を終えた。引き金となったのは日米長期金利の急速な上昇だ。新型コロナウイルスへの対応で各国の中央銀行が大量に供給した緩和マネーは、有利な運用先を求めて市場を揺らす。[br][br] ▽株高けん引[br][br] 新型コロナの感染が広がった2020年、日米欧は経済活動を強制的に停止する一方、大規模な財政出動で家計や企業を支えた。[br][br] 側面支援したのが中銀だ。大量の国債買い入れで金利を抑え、あふれたマネーは株高をけん引した。米国のダウ工業株30種平均は昨年11月に史上初めて3万ドルの大台を突破。日経平均株価は今月15日、約30年半ぶりに3万円台を回復した。[br][br] ▽利上げ観測[br][br] 株も債券も買われるマネーの流れに変化の兆しが生まれたのは昨年秋ごろからだ。投資家は、投資先から得られる利益やリスクを考慮して運用先を選ぶ。マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「(低金利で)債券に投資する魅力が薄くなり、行き場をなくしたお金は株式や暗号資産(仮想通貨)といったリスク資産に向かった」と指摘する。今月に入り、暗号資産の代表格であるビットコインは初めて5万ドルを突破した。[br][br] ワクチン接種による景気回復期待から株が一段と買われる一方、米国債は売られて金利が上がった。今年1月に米長期金利が1%に乗せて以降、上昇傾向に拍車が掛かり、つられた日本の長期金利は26日、一時0・175%と約5年1カ月ぶりの高水準をつけた。[br][br] 市場では米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを防ぐため、早期に利上げするとの観測がくすぶる。足元の金利上昇による景気への悪影響に加え、緩和マネーの縮小を警戒する見方が強まり、日米での株価急落につながった。[br][br] ▽日銀苦慮[br][br] 日銀も対応に苦慮することになりそうだ。3月の金融政策決定会合では、政策の効果と持続性を高めることを狙い、株式銘柄を束ねた上場投資信託(ETF)の買い入れや、金利操作の運営を修正する公算が大きい。市場機能を損ねているとの批判を受け、株価上昇時にはETFの購入を抑制。長期金利は一定の変動を容認する姿勢を強く打ち出すとみられている。[br][br] ただ、金融政策の軌道修正は金融引き締めと受け止められ、一段と市場の混乱を招く恐れもある。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「市場が不安定な状況が続けば、日銀は市場機能への配慮よりも、緩和継続をより強く発信することを強いられる可能性がある」との見方を示す。 マネーの流れ