【非核化交渉決裂2年】正恩氏、対米持久戦の構え

北朝鮮の朝鮮労働党大会に臨む金正恩氏=1月、平壌(朝鮮中央通信=共同)
北朝鮮の朝鮮労働党大会に臨む金正恩氏=1月、平壌(朝鮮中央通信=共同)
米朝首脳による非核化交渉がハノイで決裂して2月末で2年。1月に発足したバイデン米新政権はトランプ前政権までの対北朝鮮政策の検証作業中で、交渉再開を急ぐ気配はない。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記も過度の挑発は控え、疲弊した足元の経済.....
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米朝首脳による非核化交渉がハノイで決裂して2月末で2年。1月に発足したバイデン米新政権はトランプ前政権までの対北朝鮮政策の検証作業中で、交渉再開を急ぐ気配はない。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記も過度の挑発は控え、疲弊した足元の経済立て直しに注力。中国に接近するそぶりもみせ、持久戦の構えだ。[br][br] ▽統制強化[br][br] 「一言で言えばカネの唯一指導化、一元管理だ」。北朝鮮関係筋は、1月に開かれた5年ぶりの党大会の要点についてこう説明する。[br][br] 金氏は自給自足を大前提とする新たな経済5カ年計画を提示し、「国家の統一的な指揮管理の下、経済秩序を復元する」と強調した。制裁と新型コロナウイルス対策の国境封鎖が続く中、限られた資金と資源の配分を徹底統制、蓄財や横流しを取り締まる方針だ。[br][br] しかし現実は厳しく、出だしから難航。党大会で任命された経済担当の党書記はわずか1カ月で交代した。北朝鮮メディアは連日、労働者らの決起集会を伝え、変わらぬ人海戦術をうかがわせる。韓国情報機関によると、北朝鮮は軍部隊の服務期間を最長2年短縮。人員を経済分野に割く狙いがあるとみられる。[br][br] 新たな駐中国大使には、長く貿易部門を率いた李竜男(リリョンナム)前副首相を起用した。韓国外交筋は「中国に接近して急場をしのごうとしている」とみる。[br][br] ▽年間10個増[br][br] 金氏は党大会で、米国は「最大の主敵」だとして対決姿勢を強調し、核・ミサイル戦力の高度化を進めると宣言した。通常戦力で米韓に劣り、軍部隊を経済建設に投入せざるを得ない状況なだけに、核への依存を深める公算が大きい。[br][br] この間、米国だけでなく中国の反発を招く核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験は自制しつつ、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)や日韓を狙う新型弾道ミサイルの開発を推進。金氏がハノイ会談で制裁解除を条件に廃棄を提案した寧辺(ニョンビョン)の核施設では、今もウラン濃縮を継続しているとされ、保有核弾頭は年10個のペースで増えている恐れがある。[br][br] 金氏は一方で、米国には「強対強、善対善」の原則で対応するとし、2018年にシンガポールで開いた初の米朝首脳会談の共同声明は新たな米朝関係樹立を確約したと評価した。[br][br] 日本政府当局者は、米側が先に約束を破棄したとみられる前例をつくるのは得策ではないと指摘。非核化交渉再開のため共同声明を尊重する姿勢を示すべきだとしながら、「北が硬軟どちらに振れるのか判断するのはまだ早い」と語った。(北京共同)北朝鮮の朝鮮労働党大会に臨む金正恩氏=1月、平壌(朝鮮中央通信=共同)