【震災10年 復興の歩み】(6)洋野町 防潮堤、防災センター整備完了

避難所や消防団屯所の機能を併せ持つ八木防災センター=洋野町種市
避難所や消防団屯所の機能を併せ持つ八木防災センター=洋野町種市
洋野町は、東日本大震災で最大10メートルの津波が襲来したが、死者や行方不明者、負傷者など人的被害はゼロ。ただ、住宅や漁船、漁業施設などは大きな被害を受け、その額は66億円にも及ぶ。この10年で、町には津波防災の要となる防潮堤や八木防災センタ.....
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 洋野町は、東日本大震災で最大10メートルの津波が襲来したが、死者や行方不明者、負傷者など人的被害はゼロ。ただ、住宅や漁船、漁業施設などは大きな被害を受け、その額は66億円にも及ぶ。この10年で、町には津波防災の要となる防潮堤や八木防災センターなどが設置され、ハード面は完了。地場産品の買い物や食事が楽しめる、ひろの水産会館(ウニーク)が新たな町のシンボルとして浸透するなど、震災前のにぎわいを取り戻してきた。[br][br] 町内沿岸には防潮堤が張り巡らされているが、八木地区では震災時に築かれておらず、町営八木魚市場や製氷貯氷施設のほか、住宅や集会施設などが全壊するなど、被害は広範囲に及んだ。[br][br] 新設された防潮堤は八木港を囲むように築かれ、長さ約420メートル、高さ12メートルの巨大な壁が2018年3月に完成した。翌年4月からは、全国瞬時警報システム(Jアラート)とも連動し、津波注意報などが発令された際は自動で水門が閉まるシステムを導入。周辺には、水門が閉鎖された後でも高台へ向かうことができる避難路も整備した。[br][br] 200人が収容可能な施設として、13年10月には八木防災センターが誕生。海から離れた高台の国道沿いに位置し、避難所と町消防団屯所の機能を併せ持つ町の新たな防災拠点だ。長期間の避難に対応するため、シャワー室なども完備したほか、4500食分の食糧や非常用発電機を備蓄。地域住民が管理運営しており、有事の際は迅速な避難所開設が可能となった。[br][br] にぎわい創出に向けて整備されたのは、ひろの水産会館。種市港近くにあり、津波で損壊した種市ふるさと物産館の跡地に建てられ、町の観光振興をけん引する。直売所や飲食スペースのほか、子どもたちの体験交流学習の場にもなっている。[br][br] 町防災推進室の城内勉室長は「この10年で復旧は終了した。これからは施設をどう生かしていくかが重要だ」と指摘。「今後も町民への防災教室などを開催し、施設をより身近に感じてもらいながら、防災への意識の輪を広げていきたい」と強調する。避難所や消防団屯所の機能を併せ持つ八木防災センター=洋野町種市