天鐘(2月25日)

「官僚は本能的に政治家を観察している」とは菅義偉首相が自著『政治家の覚悟』の冒頭で述べている官僚の“生態”だ。政治家が責任を回避するようでは官僚はやる気をなくし、(政治が)機能しなくなるとも▼師と仰ぐ梶山静六元官房長官から「官僚の説明をよく.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 「官僚は本能的に政治家を観察している」とは菅義偉首相が自著『政治家の覚悟』の冒頭で述べている官僚の“生態”だ。政治家が責任を回避するようでは官僚はやる気をなくし、(政治が)機能しなくなるとも▼師と仰ぐ梶山静六元官房長官から「官僚の説明をよく聞き、自分で判断できるようになれ」と叩たたき込まれた。その口伝をアレンジした自分流の“官僚操縦法”らしい▼心優しき武闘派の梶山氏は官僚にも愛されたが、菅氏は優秀な官僚を警戒。人事を握って力を誇示、「忖度(そんたく)」で敵味方を峻別する“威圧”を常套(じょうとう)にする。官僚との信頼の構築では師とは真逆とも言える違いがある▼11人もの懲戒処分を出した総務省幹部への接待問題の根底には、首相の長男が勤める「東北新社」の巧みで強引な“官僚操縦法”が窺(うかが)える。幹部も幹部で“本能的”にわれ先とニンジンにかじりついたのでは▼長男は菅氏が総務相時代の政務秘書官。同省は今も首相の“直轄地”で幹部が容易く倫理規程を乗り越えた訳はそこにある。「別人格」と逃げた首相も最後は追い込まれて謝罪。「驚いた」と苦悩の色を覗かせた▼30年前、後藤田正晴元官房長官は「見かけは政党政治でも実は官僚支配」(『政治とは何か』)と政治主導の未熟さを突いた。政治主導はさらに歪み五里霧中、官僚は忖度に躍起だ。コロナも接待が蔓延(はびこ)るそんな“夜の街”が大好きだ。