天鐘(2月21日)

十和田市と合併する前の旧十和田湖町の議会は、議場と傍聴席との間が厚いガラス板で仕切られていた。議場内のやりとりはスピーカーで傍聴席に届く仕組みである▼困ったことに、本会議が紛糾して不規則発言などが飛び出すと、すぐ議場のマイクが切られてしまう.....
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 十和田市と合併する前の旧十和田湖町の議会は、議場と傍聴席との間が厚いガラス板で仕切られていた。議場内のやりとりはスピーカーで傍聴席に届く仕組みである▼困ったことに、本会議が紛糾して不規則発言などが飛び出すと、すぐ議場のマイクが切られてしまう。透明板の向こうは一転して密室に。これが“ガラス張り”の議会かと、取材した当時は記者仲間と皮肉ったものだ▼そのガラス張り・透明性が焦点となった東京五輪・パラリンピック組織委の会長人事もやっと決着した。新会長の橋本聖子さんにはぜひ頑張ってほしい。ただ、一方で、どこかすっきりしない気持ちも残る▼橋本さんには前会長の影がつきまとう。それ以上に、いまさらではあるが、あの川淵三郎さんが気の毒に思えてしまうからだ。事前に余計なことを言ったとされ、有力候補は一夜で白紙に。それこそ「密室」だと批判された▼人事にどこまで透明性を求めるかは、実は難しい。全てを明らかにすれば不利益を被る人もいる。片や選考理由や過程が分からなくては納得できぬこともある。肝になるのはガラスの透かし具合か▼今回の件、透明性の確保を一番に求めたのは菅義偉首相らしい。大事なことだ。ただこの人、日本学術会議では頑として任命拒否の理由を語らなかったはず。それはそれ、これはこれ、か。ドタバタの劇中、最大の違和感だった気もする。